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大槻 正フェロー

人工知能の応用分野

さまざまなアプリケーションに搭載される人工知能の応用分野は幅広い。

1999年、ソニー株式会社は犬型ロボット「AIBO(アイボ)」を発売した。価格は25万円で、限定5000体をインターネットで販売したところ、何とたったの17分で完売した。大槻正フェローは、そのAIBOの開発責任者だった人物である。「当初は、AIBOの販売に対して“こんなものが売れるわけがない”と、社内で猛反発を受けました。それで、“もし1000体未満しか売れなければ、プロジェクトを解散する覚悟ですので、何とか販売させてほしい”と経営会議で直訴しました。結果は全員の予想をはるかに超えるもので、本当に驚きました」と振り返る。

大槻氏は1972年に静岡大学工学部を卒業後、ソニーに入社。コンパクトディスク(CD)などデジタルオーディオシステムや光磁気ディスク(MO)を研究・開発し、商品化や事業化までを手掛けた。1994年にはソニーを退社し、株式会社ナムコ(現・株式会社バンダイナムコゲームス)に入社。ゲームセンター用の3次元CGのハードウエア、ソフトウエアの研究・開発に携わった。

そんなある日、ソニーから「見てほしいものがある」という連絡を受ける。それは試作段階のAIBOだった。1997年、AIBOの商品化に取り組むべく、ソニーに再入社し、冒頭の快挙につながるのである。

2003年には、AIBO事業が一段落したのを機にソニーを退社し、スミダコーポレーション株式会社へ。同社で執行役、プレジデントを務めた後、2006年にニコンに入社する。両社に在籍中も、さまざまな製品を研究・開発し、その商品化・事業化を行った。しかし、どうしてもロボットの開発に携わりたいという思いに駆られ、2011年に株式会社インタラクティブラボラトリーを設立し、代表取締役会長に就任。ロボット開発に取り組んでいる。

初代AIBO「ERS-110(」右)と大槻 正フェロー

1999年に日米合わせて5000体限定で発売された初代AIBO「ERS-110」(右)と、新機能を搭載した最終世代のAIBO「ERS-7M3」。

そんな大槻氏に「将来をにらんだロボット戦略の立案に協力してほしい」と技術戦略研究センターがフェロー職を打診した。大槻氏は、その申し出を快諾。それには理由があった。「日本はロボット技術で核となる人工知能の開発で米国にかなりの後れを取っています。この競争に負けたら、日本の製造業は壊滅しかねません。それで常々、負けないための戦略を立てる必要があると思っていたのです。それにはまず、産学官がそれぞれ人工知能の重要性を認識し、研究者を増やして研究開発に取り組む必要があります」。

現在、2020年の東京オリンピックに向けて、さまざまなロボットプロジェクトが進行している。「その機運に乗って、人工知能を含めたロボットの実用化の手助けをしていきたいと思います」と大槻氏は熱く語る。

定期広報誌「Focus NEDO」第56号より