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いよいよ社会へ。水素元年、発進。

トヨタ自動車の燃料電池自動車「MIRAI」の登場によって、一気に現実味を帯びた水素社会。水素ステーションの整備も進む中、NEDOはさらなる水素エネルギーの活用に向け、2015年度から四つのプロジェクトをスタートしました。そこで今回、MIRAIの開発責任者であるトヨタ自動車株式会社の田中義和チーフエンジニアとNEDOの古川一夫理事長の対談を行い、MIRAI開発の裏話や燃料電池自動車普及への課題、水素エネルギーの未来について語ってもらいました。

トヨタ自動車 田中義和氏とNEDO理事長 古川一夫
水素エネルギー社会の先駆者となるようなクルマを
MIRAIに搭載されている燃料電池スタック

古川昨年末に燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」の一般販売が開始され、長年燃料電池や水素の開発に携わってきたNEDOとしても、水素社会の本格的幕開けとして大変うれしく思っています。NEDOは1992年から現在のFCVに搭載されている固体高分子形燃料電池の研究開発をスタートし、90年代後半からは水素ステーションの技術開発にも取り組んできました。今年は水素元年といわれていますが、これもMIRAIの一般販売が大きかったと思います。そこで、開発責任者の田中さんからいろいろお話を聞かせていただきたいと思います。まず田中さんとFCV開発との関わりは、どのように始まったのでしょうか。

田中私がFCV担当になったのは2012年からです。それまではプラグインハイブリッド車(PHV)の開発を約6年間行っていました。2011年末にPHVの開発が一段落して、次はFCVを担当するようにと言われたのですが、その時点では、どんなクルマにするか、コンセプトをどうするかなど、まだ決まっておらず、開発を一から進めることになりました。ただこのクルマについては当初から、環境性能ももちろん大事だけれども、やはりクルマとしての魅力、走りの良さ等がないとダメだろうと考えていました。水素社会を牽引するためには、魅力的なクルマにして、皆さんに憧れを持っていただけるようにしなければいけない―。そのため、“プリウスを超えるイノベーションを”とか、“H2 Pioneer for the Next Century”など、まさにクルマの次の100年のため、水素エネルギー社会の先駆者となるようなクルマにしたいという、今思えば大それたコンセプトを掲げてスタートしました。

開発を始めた当時、リーマンショックの影響で会社の収益は大変厳しい状況にありました。大きなチャレンジをするにはかなり厳しい状況でしたが、経営層からは、「頭を使い、知恵を使った賢い開発をするように」という指示が出ました。水素については、まだまだ社会の認知度も低い中、経験がないものを市場導入することは、社会に対して非常に責任の重いことです。しかし、トヨタが1992年から真剣に開発をし続けてきた歴史を引き継ぎ、何が何でも商品化するんだと社内を駆け回って、賢く開発する知恵を出してもらうよう頼みました。その結果、生産技術の人たちには、新しいモノづくりにチャレンジしてもらい、調達の人に頼んで、社外の仕入れ先にも新しいつくり方を試してもらうなど、社内全体の部署を巻き込むことになりました。そういうことも相まって、何とかクルマを出すことができて、すごくいい開発ができたのではないかと考えています。

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定期広報誌「Focus NEDO」第57号より