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連載シリーズインタビュー(Focus NEDO47号より)

日本の洋上風力発電技術の基盤を築く

 欧州では洋上風力発電について“Offshore is not offshore”という表現を使うことがあります。同じ洋上風力発電でも海象条件(水深、離岸距離など)の違いがあることなどから、「一言で洋上風力発電とは言ってもタイプはいろいろ」というわけです。
 日本でも、海域によって気象・海象条件が大きく異なるため、実証試験は太平洋側(銚子沖)と日本海側(北九州市沖)の2海域で実施します。
 特に、日本では、洋上風況を長期間、高高度で計測した事例はありません。洋上風況、波浪・潮流などの諸特性の把握は洋上風力発電設備を設計する上で非常に重要です。そのため、高精度の計測装置による観測を約2年間行います。こうした観測データは今後、洋上風力発電の技術基準を策定する際に貴重なデータになります。
 洋上風車の開発では、塩害対策や台風・落雷対策など洋上の厳しい自然環境に適合可能な技術開発課題に取り組む必要があります。また、洋上風車へのアクセスは、陸上の場合に比べて大きく制限されます。そこで、高い稼動率の維持に必要なメンテナンス性や運転監視技術の高度化の研究開発を行い、それらの課題を克服すると共にデータを蓄積します。
 環境影響評価手法の確立では、海洋生物の定量的な調査・評価が課題となります。採取できない底魚類の調査方法や蝟集(いしゅう)効果などの評価手法を確立します。
 日本では、洋上風力発電は動き出したばかりですが、陸上で培われた風力発電の技術や超大型化への取り組みなど先行する欧州勢に技術的に対抗できる可能性は大いにあると思っています。
 現在、開発を進めている7MWクラスの超大型風車は、革新的なドライブトレイン(動力伝達装置)を持ち、メンテナンス性を改善した世界に類を見ない全く新しい風車です。日本の重工メーカーの豊富なリソースを活かし、一方で海外の革新的な技術を取り込むことで、先行している海外の風車専業メーカーの水準を超えようとするものです。このような取り組みは、今後の技術開発の一つの方向性を示すものです。

洋上風車資料および建設風景写真


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定期広報誌「Focus NEDO」第47号より