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連載シリーズインタビュー(Focus NEDO48号より)

本格的な普及が近づいた「SiC」

 プロジェクト開始当初は、欧米企業の後追いでしたが、常に海外企業の研究動向も見据えて目標を設定し、着実に技術を蓄積して、今や日本も欧米と肩を並べるところまで来たと思っています。特に日本は材料やデバイス製造の技術が強いため、この分野は日本の大きな産業分野の一つになると考えています。
 次世代パワーデバイスの実用化の鍵となるウエハーの製造ですが、6インチウエハーの量産化技術の検討が進んできています。今まさに日本からSiCパワーエレクトロニクスが大きく普及すると期待しています。
 SiCパワーエレクトロニクスは既存のSiのものと比較して、優位な点が多くありますが、国際的な競争力を強化するためには、取り組むべき課題が少なくありません。中でも一番のネックとなっているのがウエハー製造のコストと品質の安定性です。ここが最大の課題であり、国内企業で安定して供給できる体制を早期に構築する必要があります。また、現状のSiCパワーエレクトロニクスはその性能をフルに発揮できておらず、様々な面で改善の余地があります。さらに、デバイスとしての信頼性も今後の大きな課題といえます。

もう一つの次世代パワーエレクトロニクス「GaN」

図3 Si/SiC/GaNパワーエレクトロニクスの棲み分け

 GaNは、SiCよりも電力損失が低く、高い周波数での安定した動作性能(高周波特性)に優れるため(表1)、もう一つの次世代パワーエレクトロニクス材料として注目されています。GaNパワーデバイスはより高周波特性が要求される携帯電話の基地局など、SiCよりも動作周波数が高い分野での応用が期待されています(図3)。NEDOは、GaNのウエハー製造技術についても支援を行っていて、こちらも欠陥の少ない高品質のウエハー製造技術の開発が着実に進められています。

普及のためのその他の取り組み

表1 Siデバイスと次世代(SiC、GaN)デバイスの特性比較

 次世代パワーデバイスが普及するためには、ウエハー技術のほかにも、高温で使用できる周辺の材料技術・実装技術も重要です。NEDOは今年度からこれらの技術開発にも取り組んでいます。
 さらに、自動車に次世代パワーエレクトロニクスを搭載するためには、低コスト・高信頼性・供給安定性が要求されます。SiCパワーエレクトロニクスは実用化が見えてきたとはいえ、ウエハーの大口径化、低コスト化など、取り組むべき課題は多く残っています。
 NEDOは今後も、それぞれの技術研究フェーズに応じた最適なプロジェクトを実施していきます。


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定期広報誌「Focus NEDO」第48号より