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連載シリーズインタビュー(Focus NEDO53号より)

さらなる普及に向けた課題と取り組み

――固定価格買取制度が導入されて、太陽光などの普及はずいぶん進みました。これで日本の新エネルギーはどう変わりましたか。

発電コストの比較例

橋本 一昨年7月に導入された固定価格買取制度はてきめんに効果を現しています。太陽光についていえば、この20か月の間に約800万kWが導入されました。それ以前の20年間に導入された累計が約560万kWだったのに比べれば、その勢いのすごさをお分かりいただけると思います。その一方で、それだけ大量に導入されると、新たな課題も浮き彫りになってきました。
 1つ目はコストの問題です。太陽光発電と既存の電力のコスト差は、そのまま国民負担になります。国民負担を抑えるため、発電コストをさらに下げる必要があります。NEDOは、火力発電並みに発電コストを引き下げ、固定価格買取制度のように特別扱いをしなくとも普及するようにするのが最終的なゴールと考えています。そのため、多接合太陽電池や超大型風力発電などの研究開発を進めています。
 2つ目は系統の問題です。天気任せで出力が変動する太陽光や風力は、系統を不安定にしてしまうという課題があります。NEDOは、気象予測の技術を使って風力の出力予測を行い、変動の影響を減らす技術を開発しています。
 そして3つ目は環境アセスメントです。太陽光は導入が大幅に拡大していますが、風力や地熱では必ずしもそうではありません。その理由は環境アセスメントに時間がかかりすぎていることにあります。NEDOは、環境アセスメントをしっかりと、かつ期間を短縮して行うための手法開発を経産省・環境省とも連携して実施しています。

――新エネルギー分野のイノベーションという意味では、今後どのような活動をしていく方針でしょうか。

橋本 これらの目の前に迫った問題はもちろん、少し先の未来を見据え、世の中を変えるような新しい技術の開発も行っています。例えば藻から油をつくる技術や、広告用の看板などに使える色を付けられる太陽電池の開発に取り組んでいます。
 また、2015年からの燃料電池自動車の一般販売を前にして、水素社会実現に向けた機運も高まってきました。NEDOは燃料電池や水素ステーションの低コスト化を進めるとともに、材料データの取得・提供などを行い、規制見直しの作業を後押ししています。こういった取り組みを通じて、水素社会実現に一歩ずつ近づいていきたいと思います。

――新エネルギーが普及した社会について期待されていることを教えてください。

橋本 太陽光発電や風力発電などが情報技術とつながって、スマート・コミュニティが形成されていくでしょう。それにより、エネルギー・環境問題の解決が大きく進むことが期待されます。また、ビジネスという視点からも、再生可能エネルギーならではの付加価値が見出すイノベーションにより、我々が想像しないような新しいビジネスやサービスが生まれるかもしれません。

<新刊情報>NEDO再生可能エネルギー技術白書 第2版

NEDO再生可能エネルギー技術白書 第2版昨今の再生可能エネルギーへの国民の期待の高まり、政策や技術動向の変化、FITによる市場の拡大等、本書初版発行後の再生可能エネルギーをめぐる諸状況の変化を踏まえ、再生可能エネルギーとその技術に関する最新情報を整理し、2013年12月、3年ぶりに改訂版を取りまとめた。第2版は、現実のものとなった再生可能エネルギーの大量導入に向けての技術的課題の克服、新たなビジネス創出など、政策ニーズに応えるための技術的な課題の抽出とその解決策を具体的に提示することを目的としている。


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定期広報誌「Focus NEDO」第53号より