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連載シリーズインタビュー(Focus NEDO56号より)

日本で初めて誕生した研究機関技術戦略研究センターの全貌
川合氏写真

2014年4月、NEDO内に設立された技術戦略研究センターは、10年後、20年後をにらんだ日本の産業技術やエネルギー・環境分野についての戦略を練るという。これによって、NEDOの活動も新しい段階に突入した。そこで、川合知二技術戦略研究センター長に、設立の経緯をはじめ具体的な活動内容、今後の展開などについて聞いた。


Profile1974年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。1976年、国立分子科学研究所助手。1983年、大阪大学産業科学研究所助教授。1992年、同大学産業科学研究所教授。2004年、同大学産業科学研究所所長。2007年、同大学総長補佐。2010年、同大学産業科学研究所特任教授。2014年、NEDO技術戦略研究センター長に就任。2003年、紫綬褒章。2006年、文部科学大臣表彰科学技術賞。2010年、Top Cited Article 2005-2010 Award(ELSEVIER)。

(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
技術戦略研究センター長川 合  知 二

設立3カ月前にセンター長職の打診を受け二つ返事で了承
――昨年4月に技術戦略研究センターが設立されましたが、まずその経緯について教えてください。

川合センターでは、国内外の産業技術やエネルギー・環境技術動向について研究し、それに基づいて産業技術やエネルギー・環境技術分野のどこに取り組み、どこに投資していくかという戦略を立てます。つまり、技術動向を分析して重点分野を絞り込み、さらに分野ごとの技術戦略とプロジェクト構想を策定する研究機関です。

驚くことに、日本には今までこうした研究機関はありませんでした。日本の産業振興は官庁の中でも特に経済産業省が取り組んできましたが、これまでは行政官が個々にアイデアを出し立案をしてきました。そのため、全体を俯瞰するかたちで戦略が立てられることはほとんどなかったように思います。私はかねてからそれを不思議に思い、日本にはぜひ戦略を立案する機関が必要だと考えていました。

そう考えていたのは経済産業省も同様で、設立の1年前からNEDOと一緒に、そのような研究機関の構想を進めていました。そして、さまざまな議論を重ねた末に誕生したのが、この技術戦略研究センターです。

―川合センター長には、いつごろ打診があったのでしょうか。

川合設立の3カ月前です。NEDOの倉田副理事長が私のいる大阪大学に来られて、こういうセンターをつくろうとしているけれども、ついてはそのセンター長になっていただけますかという話をいただきました。私はそのようなセンターが必要だとずっと思っていましたので、賛同し了承しました。

技術戦略研究センターの6つのミッション
――大学ではどのような研究をなさっているのでしょうか。

川合ナノテクノロジー分野で、研究テーマはDNAを1分子ですべて読み取るDNAナノテクノロジーです。非常に狭い電極をつくり、そこにDNAを通すと、そのときに流れる電流でDNAをすべて読み取るというナノテクノロジーの権化のようなものです。その研究のおかげで、国が選定した科学者30人に選ばれたこともあります。

ただ、経歴的には化学、物理、生物というように、さまざまな分野・技術に携わってきましたので、ある分野のみに一生関わっているというわけではありませんが、専門を聞かれれば、ナノテクノロジーと答えています。ナノテクノロジーは、半導体技術など他の分野と組み合わせて初めて伸びるものですし、世界との競争も激しい分野です。そのため、それらをウオッチしながら、コストも考え、俯瞰することが重要で、そうしなければ競争に勝つことはできません。

定期広報誌「Focus NEDO」第56号より