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連載シリーズインタビュー(Focus NEDO56号より)

7つのユニットでそれぞれの重点テーマを絞り込む
――技術戦略研究センターでは具体的にどのような活動をしているのでしょうか。

川合産業技術やエネルギー・環境技術は非常に広範囲にわたるため、戦略を立てるときは、狭い範囲にならないように意識しています。あくまでも日本全体を見て、重点的にどこに取り組むかを決めることを重視しています。センターには7つのユニットがあり、それぞれのユニットでどこに取り組むべきかを決定します。

まず社会的な要請や課題を踏まえたバックキャスト型アプローチを行って重点課題を抽出します。その上で優先順位を決め、技術の現状とシーズを踏まえたフォーキャスト型アプローチを行い、目標や市場規模、プレーヤーなどあらゆる角度から分析を行います。そして、それらを通じて技術開発の方向性を定め、あるべきプロジェクトを構想しています。現在、ユニットごとに取り組むべき戦略の“バージョン1.0”ができつつあります。

――取り組むテーマは各ユニットにどれくらいあるのでしょうか。

川合いくつあってもいいと思う一方、予算は限られていますので、数が多いと、どうしても分散してしまう恐れがあります。そのため、各ユニットで十数個のテーマが上がったとしても、2~3個に絞ります。実はこのセンターには6つのミッションがあり、今お話ししたのは2番目と3番目のミッションなのです。

――残りのミッションについても教えてください。

川合1番目のミッションは国内外の技術情報等の動向調査・分析です。それはまだ十分ではありません。なにしろセンターは設立されたばかりですので、情報を集めるルートをまだ確立できていません。とにかく早く国内外にネットワークをつくることが大事だと考えています。国内では現在、さまざまな学会とのネットワークづくりに取り組んでいます。

そして、4番目が横断的な技術開発マネジメント手法の開発、5番目がプロジェクトマネジメントを担う人材の育成、6番目が適切な情報発信等による技術戦略の社会への浸透です。私としては、この6つのミッションを実践し、センターの土台をしっかりと構築していきたいと考えています。

――センターでは何名くらいが働いているのでしょうか。

川合専任のスタッフと外部から招いたフェロー、そのほか研究員として加わっている方を合わせて、合計で約50名おります。最終的にはもう少し人数を増やして60名くらいにしたいと考えています。

フェローは大学教授や企業の研究者で、その道の第一人者です。各ユニットにフェローが1~3名おり、週に一度はスタッフとフェローが集まって技術戦略ミーティングを行っています。

米国DARPAを分析し新たなメソッドをつくり上げる
――川合センター長はセンターをどのような機関にしようと考えておられますか。類似している海外の機関がありましたら教えてください。

川合私たちは、さまざまな戦略を練っていることで知られる米国のDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency:米国国防高等研究計画局)を分析しています。実はNEDO全体がDARPA型に転換することが政府から示唆されています。国防というと、なんとなく嫌悪感を持つ人もいるかもしれませんが、DARPAから生まれたものは、私たちの生活になじみのあるものも多く、非常に役に立っています。例えばインターネットやGPS、お掃除ロボットなどはもともと、DARPAから出てきた技術なのです。

DARPAの特徴は先進的な技術を開発するときに、最初の段階でプログラムのつくり込みをしっかり行うことにあります。そして、ステージごとにマネジメントを非常に厳しく行っていきます。さらに、今ある技術を利用して何かをしようというのではなく、目標を立てて、その目標のために突き進んでいきます。そうした姿勢をNEDOに取り入れたらいいのではないかという意見があり、われわれのセンターもDARPAを参考にすることにしました。特に最初の案のつくり込みとマネジメントについては、DARPAの手法と似ていると思います。

ただ、そのまま真似るのではなく、NEDO型をつくろうと考えています。これは産業にまでつなげようという面倒見のいいもので、新たなメソッドだと考えています。

――日本の場合、技術が一流でも、製品化――つまり下流に行くほど世界に負けるケースが多いと思いますが、その部分についても、センターとして何か取り組んでいくのでしょうか。

川合技術戦略研究センターですので、あくまで技術としてどれくらい伸びるのかという観点で進めることが基本です。ただ、国の税金を使っていますから、その辺りについても考えながら取り組む必要があると思います。それはNEDO全体の考え方でもありますので、われわれも技術として世の中に出すときに、それがどのように使われたらいいかというところまでを提言することも大事だと考えています。

技術戦略策定のプロセス
――最後に今後の展望について、お聞かせください。

川合こうした戦略はつくった以上、うまく機能しないといけません。そのためにはやはり、経済産業省等の政府機関、企業、大学等の意見を聞き、本当に意義のあるものに練り上げていきたいというのが希望です。さらに、説得力があり、みんながなるほどと思うものをロングタームでつくっていくことが目標です。そのためには技術戦略策定のプロセスイメージに徹底的に取り組むことが重要だと考えています。そういう中で、非常に尖ったもの を生み出していく――10年後、20年後にインターネットやGPSのようなものが、このセンターから生まれることを期待しています。

定期広報誌「Focus NEDO」第56号より