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連載シリーズインタビュー(Focus NEDO59号より)

世界の環境改善に貢献するNEDOの環境技術プロジェクト

安居氏写真

社会における多様な地球環境問題の課題解決に向けて、NEDOはこれまでさまざまな技術開発を行ってきました。また2015年12月にはCOP21が開催され、「地球温暖化」の解決に向けた技術がますます注目を浴びています。そこで、NEDOが行う環境技術について、NEDO環境部の安居徹部長に話を聞きました。


Profile1989年、通商産業省入省。新エネルギー等電気利用室長、機能性化学品室長等を歴任。新潟県総務管理部長、資源エネルギー庁石炭課長を経て、2014年5月、NEDO環境部長に就任し、現在に至る。

NEDO環境部長安 居  徹

フロンの排出削減で大きな成果「持続可能な社会システム」の構築へ
――地球環境問題が多様化し、課題を解決する技術についてもさまざまな視点が求められていますが、NEDOはこれまで、どのような環境技術に取り組んできたのでしょうか。

安居1990年代に「地球温暖化」が社会問題として広く知られるようになる中、NEDOはグローバル化する環境問題の課題解決に向けて、「持続可能な社会システム」の構築を目指し、さまざまな技術開発に取り組み始めました。特に環境部は、「京都議定書目標達成計画」の削減目標の中で大きな割合を占めるなど、地球温暖化対策において非常に影響が大きいフロンの排出削減技術の開発に、日本の公的技術開発機関として唯一取り組み、大きな成果をあげています。

このNEDOのフロン対策技術の歴史には、まず1996年度から実施した「フロンの代替物質の開発」や「フロンの回収・破壊技術」があります。「フロンの代替物質の開発」は、オゾン層破壊の原因であり、温室効果ガスでもあるフロン類の代わりになる代替物質を開発するものです。また、「フロンの回収・破壊技術」は、こうした環境影響の大きいフロン類を回収し、環境に影響を及ぼさないよう破壊する技術を開発するものです。フロンを取り巻く環境の変化に合わせ、最近ではさらに、フロン類を使わない「ノンフロン化技術」の開発にも取り組んでいます。

――時代と共に、求められる環境技術も変わってきているということですね。

安居2015年4月に施行された「フロン排出抑制法」に対しても、NEDOはその施行を見据えて、製品の製造時から製品使用時の漏洩防止、廃棄までのライフサイクル全体を考えた研究開発をこれまで行っています。

さまざまなアプローチから生み出す環境技術イノベーション
――環境分野のイノベーションという意味で、今、注目される技術にはどのようなものがあるのでしょうか。

安居中長期的な視点に立った革新的な技術開発としては、環境化学分野における「人工光合成」という技術が注目を集めています。この技術は植物の光合成のように、太陽光と水、二酸化炭素から有用物質をつくり出すクリーンな技術です。現在NEDOは、光触媒により水を水素と酸素に分解し、その水素と二酸化炭素からプラスチック原料等を製造する、革新的な化学品製造プロセスの基盤技術開発に取り組んでいます。このプロセスが実現すれば、二酸化炭素を原料に使用するので、化学品製造における化石資源の依存度を減らすのみならず、地球温暖化防止にもつながります。

NEDO環境部としてはほかにも、発電燃料として世界で一番利用されている石炭を、高効率、低炭素で有効利用する「クリーン・コール・テクノロジー」といった技術開発にも、長年取り組んでいます。また、水循環分野では、水処理に欠かせない膜技術をはじめ、省エネルギーで環境負荷の低い水循環システムや海水淡水化等の開発を官民一体で推進し、海外展開を行っています。3R分野では使用済みレアアースを回収し、再資源化するリサイクルシステムの開発等、資源供給リスクを回避するプロジェクトを進めています。

このように「地球温暖化対策」「環境化学」「クリーン・コール・テクノロジー」「水循環」「3R」という環境部が取り組む五つの技術は、一見それぞれ目的が違うように見えますが、各技術が社会に普及することで、地球温暖化のみならず省エネルギーや資源問題等、複雑化、多様化する地球環境問題の課題解決につながると思っています。国内のみならず世界で広く使われることで、各国の二酸化炭素排出量減にも貢献できます。

削減目標の内訳

定期広報誌「Focus NEDO」第59号より