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日本発のカーボンナノチューブ

ユニークな構造と物性によってナノテクの中心的な存在に

 日本で発見されたカーボンナノチューブ(CNT)は、筒状で炭素からできたナノ材料です。その大きさは1から10数ナノメートル(nm)で、DNA(直径は約2ナノメートル)とほぼ同じ大きさです。人間の目では見ることができませんが、そのユニークな構造と物性から、発見以来数々の興味深い機能が見いだされ、ナノテクノロジーの中心的な存在となっています。
 CNTはその構造から多層CNTと単層CNTに大別されます。多層CNTは生産が比較的容易であることから、国内外において年間数百万トンレベルで生産され、電池やキャパシターの部材などで、すでに実用化が進んでいます。
 一方、単層CNTは、多層CNTに比べて表面積が大きく、電気や熱の伝導性が極めて高いなど、多くの優れた特性を有しています。そのため、既存のさまざまな材料に混ぜることで、従来にない優れた機能や特徴を持つ新機能材料が期待できます。
 例えば、アルミニウムに単層CNTを少し混ぜるだけで、金属の中でも熱伝導率が高い銅の2〜2.5倍も熱を通しやすくなります。そのため、軽量で放熱性の極めて高い材料や、軽量・高強度構造材料、低消費電力の電子回路用材料などへの応用が期待されます。
 ただ、このような複合材料の開発に必要な単層CNTの形状、物性の制御技術や分離精製技術などが確立されておらず、実用化を促進する上での障害となっています。

日本発のカーボンナノチューブ関連図

インバーター用放熱板や小型のアクチュエーターを実用化へ

伝熱試験(TASC)等の写真 そこで、NEDOは、単層CNTに的を絞って、複合材料に必要な形状、物性の制御、分離精製技術などの基盤技術の開発を行っています。また、単層CNTの普及に向け、必要なナノ材料の簡易自主安全管理に関する技術の開発も併せて実施しています。
 すでに実用化が近づいている製品では、アルミニウムと複合して開発したモーター・インバーター用放熱板があります。この新しい部材は、航空機の制御用電動油圧アクチュエーター等航空機の電動化技術に利用できると考えています。これによって、電子回路の熱をより多く逃がすことができるので、冷却を省電力で行え、かつ電子回路の寿命も延ばせます。しかも、アルミニウムよりも10%程軽量なので燃費の向上にも役立ちます。
 そのほか、川下製品への実用化目標として、電動モーター駆動用インバーターへの適用を目指して現在開発を進めているところです。これが完成すると、従来のインバーターよりも25% 程度、性能が向上するとみられています。これが搭載される自動車や鉄道車両はさらに環境に優しいものになります。
 また、単層CNTを樹脂に混ぜた柔軟な電極の開発も進んでいます。この電極を利用したアクチュエーターは単位重量当たりの発生力が従来の20倍以上もあり、軽量かつ小型の駆動装置として期待されています。このアクチュエーターを用いた点字ディスプレイや人工筋肉などの開発も進めており、早期の実用化を見込んでいます。
 単層CNTの可能性をさらに広げるため、NEDOは、さまざまな業種に向けて複合材料のサンプル提供を行っています。今後、それらを利用した革新的な製品がさらに出てくるものと期待しています。

 

CNT複合材の応用展開イメージ等の写真

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定期広報誌「Focus NEDO」第51号より