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ナノテクチャレンジ事業

川上機関と川下機関の垂直連携で技術シーズを速やかに実用化

 NEDO がナノテクノロジー分野で力を入れている事業に、2005年から開始している「ナノテク・先端部材実用化研究開発(通称“ ナノテクチャレンジ” )」があります。
 当時、ナノテクノロジーが新しい技術として期待されていましたが、なかなか実用化に結びつかない状況にありました。というのも、技術が革新的である場合には、「実用化までの期間が長い」、「応用分野が多岐にわたるものの、特定の出口との関連が弱い」などの課題がありました。これらの課題の解決を目指して、“ナノテクチャレンジ”を始めました。
 この事業はテーマ公募型であり、特徴として、大学や材料メーカー(川上機関)と製品メーカー(川下機関)による垂直連携体制での応募を条件にしている点が挙げられます。異業種、異分野間の連携によって、ユーザーニーズの取り込みを可能とし、大学や企業が有する技術シーズを速やかに実用化へ結びつけるのが狙いでした。
 そして、もう1つの特徴が研究開発期間をステージⅠ(先導的研究ステージ)とステージⅡ(実用化研究ステージ)の2つに分けていることです。ステージⅠ終了後にステージゲート評価を行い、有望なテーマは、ステージⅡに移行します。これにより、ステージⅠで優れた成果を挙げたテーマについては、実用化開発まで続けて支援することが可能になります。
 これまでに全部で78 件を採択し、実用化に近いものがいくつか出ています。

ナノコンポジット絶縁材料説明写真

ナノテクを使った画期的な製品が将来、次々に誕生する

マイクロ振動発電器(オムロン株式会社)、高性能ナノフィルター(日本エアフィルター株式会社)の図 まず1つ目が環境に優しい電力機器実現のためのナノコンポジット絶縁材料です。従来の機器では、高電圧で使用される部品を絶縁するために六フッ化硫黄(SF6)という二酸化炭素の約2万4000倍もの高い温室効果を持つガスを使用する必要がありました。そこで、高電圧部品の外周に用いるエポキシ樹脂にナノ粒子を均一分散することで絶縁性能を高めたナノコンポジット材料を開発しました。㈱東芝がリーダーとなり、ステージⅠで、材料開発と絶縁性能評価を大学が行い、ステージⅡで、開発した材料の量産化技術開発を異業種・異分野企業であるクニミネ工業㈱と㈱サンユ技工が行うという形で、各ステージの役割をコントロールしました。開発した材料を用いて、電力機器(スイッチギア)モデルの作製にも成功しています。現在、㈱東芝が自社の電力機器への適用を目指し検討を進めているところです。
 2つ目が、オムロン㈱と旭硝子㈱が連携して開発した小型の振動発電デバイスです。百円玉ほどの大きさで、微弱な振動を効率的に電気エネルギーに変換します。ナノテクノロジーを用いて、半永久的に環境中から電力を得ることができるエレクトレットという材料を用いて、振動を電気変換することが可能になりました。電池部分は、小型でありながらセンサーには十分な電力を得ることができます。電池の交換や電源配線が必要ないため、メンテナンスが非常に楽になります。橋、道路、ビルなどの安全性をモニターするセンサーに最適だと考えています。それ以外にも、健康・医療・福祉機器や携帯情報家電などにも利用できるので、その応用範囲は非常に広いといえます。
 3つ目がナノファイバーを用いたエアフィルターです。今回、除塵・抗菌・脱臭・調湿といった機能を持ち、圧力損失を抑えた超省エネルギー型の空気清浄化フィルターを開発しました。ナノファイバーを用いていることから、非常に目が細かく、PM2.5や花粉、ウイ ルスも通さず、低圧損であることから、省エネルギーにも貢献します。今後、用途別にフィルターを製品化していく計画で、病院や食品工場、半導体工場などのニーズにマッチした形で実用化を進めます。
 そのほかにもさまざまな製品開発が進んでおり、近い将来、多くの分野で成果が花開き、私たちのくらしをより良いものに変えてくれると期待しています。





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定期広報誌「Focus NEDO」第51号より