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3つのステップを通じて水素社会の実現に向けて邁進

水素社会実現に向けた3つのステップ

とよたエコフルタウン水素ステーションの写真  水素はクリーンなエネルギーであり、さまざまな資源から製造可能、また日本が技術的に強みを有する分野であるといった特長があり、エネルギー政策上、産業政策上も有望な領域です。
 この水素をエネルギーとして利用する水素社会の実現に向けて、NEDOの取り組みには大きく3つのステップがあります。1つ目は家庭用燃料電池「エネファーム」により燃料電池を身近なものとする、2つ目は燃料電池自動車(FCV)と水素ステーションでインフラを整える、そして3つ目は新たな水素エネルギー需要の創出とサプライチェーン構築により、日本のエネルギーミックスに貢献するというものです。NEDOは、この3つのステップを軸に燃料電池・水素の研究開発に取り組んでいます。
 家庭用の燃料電池「エネファーム」は、2009年に世界で初めて商品化されました。テレビCMも流れ、その認知度は大きく高まっていると思います。この商品化に向けての最後の課題は信頼性の確保とコストでした。NEDOは2005年から約3500台の燃料電池システムをさまざまな地域の家庭に設置して実証試験を行い、長期耐久性を確認するとともに、一般家庭での使用状況のデータを収集し、効率的な運転方法に反映させることができました。あわせて、同時期に周辺機器の低コスト化プロジェクトを実施しました。周辺機器は一品一様でコスト削減が難しい状況でしたが、メーカーの協力を得ながら仕様の統一を図り、最終的には4分の1程度までコストを削減することができました。課題の明確化と適切なアプローチ、エネファームの実用化に向けた取り組みはこの好例でしょう。既に7万台以上が普及していますが、今後は国内外で大きく伸びていくことを期待しています。
 燃料電池自動車は水素そのものをエネルギー源とする初めてのアプリケーションです。NEDOはFCV用燃料電池の効率向上、低コスト化、耐久性向上に向けた研究開発を進めています。燃料電池では触媒に含まれる白金使用量の低減が大きな課題の一つですが、このため燃料電池の内部反応の解析といった基礎的な領域に立ち返って研究開発に取り組んでいます。一方、FCVの実用化のためには水素を供給するためのインフラ整備も不可欠です。これには技術開発だけでなく、規制の見直しといった社会に実装するための取り組みも並行して進める必要があります。NEDOは昨年、日本で初めてガソリンスタンド併設型の水素ステーションを建設し、実規模での技術の開発・実証を進めてきました。あわせて規制の見直しにつながる基礎的な研究開発も進めています。例えば水素ステーションで使用可能な材料の拡大のため、見直しの裏付けとなる水素中における材料特性データの取得や評価試験方法の確立といった取り組みを進めています。水素ステーションの設置コスト低減や社会受容性の向上など本格的な普及拡大にはまだまだ課題はありますが、FCVが特別なものではなくなる日を目指して取り組んでいます。


水素の本格的な利用に向けた課題と取り組み

 水素を本格的なエネルギーとして利用するためには、水素発電といった新たな需要の創出と、この需要に対して水素を安定的に供給するサプライチェーンの構築が必要です。特にサプライチェーンの構築は、未利用エネルギーの活用を図る上での世界的規模での視点、究極的にはCO2フリーの水素を目指した再生可能エネルギーの活用を踏まえて取り組むことが重要です。NEDOは今後、この新しい分野にも積極的に取り組みたいと考えています。
 FCVの一般販売開始を控え、我々はまさに今、水素社会の入り口に立っています。これが一時のブームとして終わることのないよう、2020年の東京オリンピック・パラリンピックという絶好の機会も活用しつつ、一歩一歩着実に進めていきたいと考えています。

<KEYWORD ―燃料電池・水素―>

●燃料電池

燃料電池は、水素と酸素の化学反応により継続的に電力を取り出すことができる発電装置。省エネルギー効果や分散型電源としての可能性に加え、燃料である水素は天然ガスや石油、再生可能エネルギー等のさまざまな燃料からの製造が可能であるため、エネルギー多様化の観点からも大きな期待が寄せられている。

●エネファーム

家庭用燃料電池コジェネレーションシステムの愛称で、LPガスや灯油などから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電し、電気と熱をつくる。“エネルギー”と“ファーム=農場”の造語である。主に固体高分子形燃料電池(PEFC)が使用される。より大型の業務用・事業用には固体酸化物形燃料電池(SOFC)が用いられる。

●燃料電池自動車

燃料電池で水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを使い、モーターを回して走行する自動車のこと。ガソリン内燃機関自動車がガソリンスタンドで燃料を補給するように、燃料電池自動車は水素ステーションで燃料となる水素を補給する。有害な排出ガスや騒音が少ない、充電が不要など多くのメリットがある。



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定期広報誌「Focus NEDO」第53号より