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高効率化と低コスト化、高付加価値化で太陽光発電のさらなる可能性を探る

2030年には発電コストを既存の火力発電並みに下げる

さまざまな太陽電池の特徴  NEDOは太陽光発電の技術開発に30年以上にわたって取り組んできました。太陽光発電の普及を進めるため、発電コストを2030年に7円/kWhに低減するというロードマップを策定し、その実現に向けて技術開発を進め、着実に成果を上げています。
北杜サイト太陽光発電所  この数年は、特に太陽電池の変換効率(光のエネルギーを電気に変える効率)向上の技術開発に注力してきましたが、これも努力が実を結びつつあります。例えば結晶シリコン太陽電池のセル変換効率は15年間更新されていなかった世界最高記録25%の壁を破りましたし、他の太陽電池でも世界一の効率を持つものは少なくありません。
 こうした技術開発の積み重ねは、産業界に蓄積され、太陽光発電の普及に大きく貢献してきました。結果、固定価格買取制度が開始された後も、日本の産業は、その普及を支えることができたのだと考えています。
 しかし、これで万事うまくいくというわけにはいきません。これまでは普及のための技術開発でしたが、今後は普及した社会を支えるための技術開発が必要です。
 その第一は、やはり発電コストの低減です。固定価格買取制度は国民負担によって成り立っていますから、発電コストが高いうちは買取価格も高く設定することになるため、国民負担が大きくなりかねません。普及のためにではなく、国民負担を抑えるために発電コストの低減が必要になってきているのです。
太陽光発電の発電コスト低減シナリオ  また、固定価格買取制度の下で太陽光発電に対しても事業性が追求され、発電コスト算出にあたっても、従来よりも現実的で厳しい条件が課されるようになってきています。その結果、これまでに掲げてきた発電コスト目標を達成するための条件も、より厳しいものになっています。
 そこで、太陽電池だけでなく、周辺機器を含めた発電システム全体を対象に、改めて発電コスト低減に取り組み始めたところです。7円/kWhという値は、既存の火力発電並みあるいはそれ以下の発電コストを意味します。太陽光発電の発電コストをここまで下げることができ、これほど安価な電力を供給する技術を手に入れられたら、産業も日常生活も大きく変化するはずです。厳しい条件ではありますが、ぜひとも実現したいと考えています。
 さらに、一般に20年以上にわたって使用される太陽光発電が社会で安心して使われるように、信頼性向上・評価技術の開発や、将来の使用済み製品の大量発生に備えたリサイクル技術の開発も進めています。


将来は曲げたり、色を付けたり、塗ったりできる太陽電池も登場

デザインソーラーランタン  固定価格買取制度の下では、太陽光発電は売電事業という視点で評価されがちですが、本来、太陽光発電はもっと多様な利用方法を考えられる技術です。微小なものから大規模発電所まで規模を問わず利用できますし、光さえあれば燃料供給不要でどこでも発電可能です。こうした特性を生かせば、電力供給以外の価値を生むことが可能ではないかと考えています。
 例えば、センサーやスイッチ等の電源に応用できれば電池交換や配線コスト削減が可能になりますし、軽量化や曲面への設置も可能となれば、電気自動車搭載への期待も高まります。低照度での発電特性やデザイン性に優れる有機系の太陽電池の開発が進めば、さまざまな高付加価値製品が登場するのではないでしょうか。曲がる太陽電池や塗る太陽電池も実現するかもしれません。
 いずれも変換効率向上や低コスト化のための技術の進展が欠かせませんが、太陽電池と組み合わせることで、新たな使い方、価値を生むものはたくさんあると期待しています。私たちは、太陽光発電の大量導入社会が見えてきた今だからこそ必要とされる技術、価値を生む技術の開発に取り組んでいきたいと考えています。



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定期広報誌「Focus NEDO」第53号より