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2つの実証試験をもとに日本の洋上風力発電技術の基盤を築く

洋上風力発電の普及に向けて克服すべき3つの課題

北九州市沖での洋上風車パーツ設置の様子  日本での風力発電の導入は、陸上を中心に2000年代前半から急速に増加し、2013年末には約270万kW(約1900基)に達しました。しかし今後は、立地の制約などの面で風力発電の適地が減少すると予想されています。
 そこで注目されているのが洋上風力発電です。洋上は風が安定して強く吹いていて、風力発電に最適な場所といえます。しかし、洋上風力発電には、解決しなければならない課題が大きく3つあります。
銚子沖での海底ケーブル敷設の様子  1つ目はコストの問題です。海上に設置するには、風車や土台となる基礎、海底ケーブルの設置工事など、陸上に設置するよりも約2倍のコストがかかるといわれています。また、運転開始後の部品交換といった維持管理についても、多くの費用を要します。当然、離岸距離や水深によってもコストが異なり、陸地から遠く、水深が深くなればなるほど、設置コストも上がります。
 2つ目は技術です。初期のものは増速機や発電機の故障が頻発したため、塩害対策や風車の状態を遠隔監視する技術など、信頼性を向上させる技術開発が進められています。さらに日本の場合、近海が深いため、コスト低減には風車1基当たりの発電量を増やす必要があり、信頼性の向上に加えて風車の大型化が技術開発の大きな課題となってきました。
実証エリアとプロジェクト概要図  3つ目は社会の受容性です。漁業者など地元地域の方々の理解なくして洋上風力発電は成立しませんので、環境アセスメントが重要になっています。
 こうした課題を解決できるように、日本に適合した、低コストの洋上風力発電技術を確立する必要がありました。そこでNEDOは、気象・海象条件の異なる太平洋側(千葉県銚子沖)と日本海側(福岡県北九州市沖)の両海域に着床式洋上風力発電施設を設置し、実証試験を開始しました。


世界に先駆けて超大型風車の開発を推進

7MWの風力発電ブレードを搬送する様子  この実証試験では、銚子沖約3.1km、水深約12mの海域と、北九州市沖約1.4km、水深約14mの地点にそれぞれ洋上風車と洋上風況観測タワーを設置しています。銚子沖ではうねりが大きく、また北九州市沖では波浪の季節変化が大きいといった異なる環境において、異なる構造の洋上風車で実証試験を行い、わが国の洋上風況特性の把握と洋上風車特有の技術課題の克服を目指しています。
 また、超大型風車の開発にも取り組んでおり、7MWクラスの開発を進めています。1枚の羽根が80m超、風車の直径が160mを超える世界最大級の風車です。しかも、風車の回転を発電機に伝えるドライブトレインと呼ばれる動力伝達装置に油圧式を採用するなど、メンテナンス性を改善した世界に類を見ないまったく新しい風車です。これは、先行している海外の風車メーカーの水準を超えているといっていいかもしれません。この風車は今後、英国に設置される予定です。
 そのほか、部品の高度化にも力を入れており、信頼性の高い部品の開発を進めています。1万点以上ある部品がそれぞれ信頼性の高いものになれば、それだけ故障も少なくなり、効率的な発電が可能になります。同時にメンテナンスの高度化も図っています。通常、風車は1年に1度の定期点検を行いますが、それをせずに部品の消耗具合を予測して、適切な時期に必要なメンテナンスを行います。
 日本の洋上風力発電は動き出したばかりですが、このような取り組みを通じて、先行する欧州勢に技術的に対抗していきたいと考えています。




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定期広報誌「Focus NEDO」第53号より