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Focus NEDO50号記念 理事長インタビュー(Focus NEDO50号より)

NEDOの理事長に就任して2年。古川一夫理事長は40年間の民間企業での経験を生かし、意識改革をはじめ、民間企業の考え方を積極的に取り入れてきた。コスト意識を高め、グローバル展開を加速させている。古川理事長にNEDOの現状を踏まえ、今後の方向について聞いた。

国益を最大化することがわれわれのタスク

理事長プロフィール

PROFILE
古川一夫(ふるかわかずお)
1946年東京都生まれ。1971年株式会社日立製作所入社、日立テレコム(USA)INC.CTO、情報・通信グループ長&CEOなどを経て、2006年取締役 代表執行役 執行役社長、2009年取締役 代表執行役 執行役副会長、特別顧問に就任し、2011年9月退任。2011年10月独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構理事長に就任し、現在に至る。

―民間からNEDOの理事長に就任されて2年が経ちましたが、これまでを振り返っての印象をお聞かせください。

古川 あっという間の2年間でしたが、やはり民間企業とはだいぶ違います。民間企業の目的は利益の最大化であり、非常にわかりやすく、そのためにすべてがマネジメントされています。NEDOのプロジェクトマネジメントにおいても、民間企業の発想を取り入れ、明確な指標を導入して、結果を出すことに力を入れていきたいと思います。NEDOでは、1980年の創立時から今日まで約6兆円の予算を投入、今後の10年間で約69兆円のレバレッジを推計していますが、こうした投資に対するリターンを最大化させるということを職員一人一人がしっかり意識することが重要であると唱えてきました。中長期的な視点に立ち、日本をどのように発展させていくかという取り組みは、NEDOのような公的機関でしかできません。国益を最大化することがわれわれのタスクであり、これからはさらにそれを加速させていこうと考えています。


―民間企業の場合、事業を進めるときにコスト意識を持つというのが重要ですが、その点についてNEDOはいかがでしょうか。

古川 それはNEDOも同様です。特に、自分たちが担当しているプロジェクトが他国に比べて本当に競争力があるのかどうかを常に考えることが重要だと思っています。物事は相対論ですから、国際競争力で勝ることが重要ですので、とにかく国際的なポジショニングをプロジェクトの開始時期にも終了した後でも考え、プロジェクトマネジメントの中に取り入れていくことが極めて重要だと思います。

技術力という資源を基に多くの成果を生み出していく

―理事長の就任時に、「成果を上げるNEDO」「利用しやすいNEDO」「わかりやすいNEDO」を目指していくと言われていましたが、これらについては満足できるところまで来ましたか。

古川 これらについては終わりがなく、引き続き力を入れていくつもりです。特に今はスピーディに成果を上げるということで、「成果を上げるNEDO」にフォーカスしています。NEDOには有能なスタッフが多く、一生懸命にやっていますので、さらに上を目指せると考えています。やはり、研究開発は10年、20年というサイクルになりますので、過去の成果を棚卸ししながら、今の時代に何ができるかを考え、成果を出していく必要があります。今年度から第3期中期計画が始まりましたが、そのキャッチフレーズとして「日本には技術力という資源がある!」を掲げています。日本の技術力という資源を基に、多くの成果を生み出していきたいと思っています。


―ところで、この2年間で一番印象に残っている出来事はどのようなことですか。

古川 NEDO理事長に就任して、初めて訪問した国が2カ国ありますが、そのうちの一つであるウズベキスタンでの熱電併給所高効率ガスタービンコジェネレーションモデル事業のことは印象に残っています。今年8月に、ガスタービンと熱回収ボイラーを使ったコジェネの発電システムの設置が完了し実証運転を開始することとなり、大変感謝されました。このプロジェクトでは、単に装置を設置し、省エネルギー効果を検証するだけではなく、効率国益を最大化することがわれわれのタスク技術力という資源を基に多くの成果を生み出していく的な運転方法や保守点検についてもしっかり指導する体制を整えたことも評価につながったと思います。日本が開発した技術が新興国に普及し、感謝されるということは、NEDOの仕事の醍醐味ではないかと感じました。こうした仕事の醍醐味を、やりがいや生きがいとして、職員一人一人の励みとすることが大事だと思います。


―現在、NEDOでは海外プロジェクトを積極的に進めていますが、グローバル化についての考えをお聞かせください。

古川 グローバル化には2つあると考えています。一つは技術のグローバル化で、標準化をどうしていくのかということです。そして、もう一つがビジネスのグローバル化で、企業が海外に進出することをサポートすることです。現在、その2つに力を入れています。
 日本は国内向けの製品を海外向けに少し修正して海外で展開するということが得意でした。昔はそれでよかったのですが、今のようなスピードのある時代では、最初から海外のスペックや標準化を念頭に置いた開発を行う必要があります。NEDOがスマートコミュニティをアメリカ、フランス、スペインなどで進めているのも、こうした理由からです。NEDOが最初から海外の政府機関と一緒になってプロジェクトを推進し、日本企業が海外市場に参入しやすい環境作りを行っています。

変化に耐えられる組織にし国民の負託に応えられるNEDO へ

―これからのNEDOについて、どんな姿を追求していきたいと考えていますか。

古川 NEDOを変化に耐えられる組織にしていきたいと考えています。NEDOの2つのミッションである「エネルギー・環境問題の解決」と「産業競争力の強化」は今後も変わりませんが、それを取り巻く環境は日々変わっています。どのような環境変化があってもしっかりと対応できる組織であるために、自分たちのポジションを常に把握する努力を継続することが重要です。そうすることで、いろいろな課題を克服し、新たな価値を創造することができると思っています。
 さらに、NEDOの成果を対外的に発信する機能を強化していくことで、きちんと評価していただけるようにしなくてはいけないと思っています。国民の負託に応えられる組織、「NEDOがあってよかった」と思われるよう変化に耐えられる組織にし国民の負託に応えられるNEDO へにしていきたいと考えています。


―2020年に東京オリンピックの開催が決定しましたが、それに向けてNEDOでは何かプロジェクトを考えていますか。

古川 NEDOとしてもいろいろなことができると考えています。NEDOは、エネルギー・環境技術をはじめ、福祉ロボットなど様々な技術開発を推進しています。1964年の東京オリンピックのとき、私は高校生でしたが、オリンピックを契機に日本はどんどん近代化していきました。2020年までの7年間で日本の社会インフラも変わっていくと思います。NEDOが関わる分野では、福祉ロボットが様々なところで活躍、燃料電池車などのエコカーが街中を走ってCO2の排出を減らすような社会となり、世界中の人々に驚きを与えられれば最高だと思います。「おもてなし」プラスそうした最先端技術の実証を通じて感動を提供することができれば、日本の国際的な地位は一層高まると思います。そこにNEDOが貢献できたら、と考えています。


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定期広報誌「Focus NEDO」第50号より