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横断的分野

20年間に超電導技術で日本が世界最高レベルに

超電導ケーブルの構造  超電導とは、金属などの物質を極低温に冷やすと、電気抵抗がゼロになる現象のことです。この現象を利用すれば、遠距離でも送電ロスを限りなくゼロに近づけることができます。しかも、大きな電流を流して強い磁場をつくることができるため、電力以外にもさまざまな分野への応用が可能になります。そのため、超電導は“夢の技術”といわれ、これまで大きな期待が寄せられてきました。
 そもそも超電導現象は今からおよそ100年前の1911年にオランダの物理学者によって発見されました。現在利用されている金属系の超電導体を超電導状態にするには高価な液体ヘリウムを使用して絶対0度(-273℃)近くまで冷やす必要がありました。そのため、MRIなどの医療用機器に利用されていたものの、産業用としてはコスト的に大きな壁がありました。
写真  それが、1986年にセラミックス系の高温超電導物質が発見され、翌年に液体窒素(-196℃)で冷却して超電導状態になる物質も発見され、世界中で高温超電導の開発ブームが巻き起こり、研究開発が一気に加速しました。
 液体ヘリウムよりも低コストの液体窒素で超電導状態を維持可能になったことで、産業界での利用可能性が飛躍的に高まり、NEDOも超電導開発への取り組みを開始しました。そして、電力機器への応用を目指し、省エネルギーの視点も含めて研究開発を継続してきました。
 こうした取り組みによって、日本の超電導技術は大きく進展し、当初、米国が世界を大きくリードしていたのですが、現在は日本の技術が世界最高水準になっています。

早期実用化を目指し横浜市の変電所で実証試験

超電導線材の国際競争  NEDOプロジェクトでは、ビスマス系超電導線材を用いて従来の銅のケーブルより3倍も電気が送れる超電導ケーブルの開発に成功しました。
 現在、その実証試験を東京電力(株)の旭変電所(神奈川県横浜市)で行っています。世界からも注目されるこのプロジェクトは、三心一括型超電導ケーブル(容量20万kVA級)を全長約240mにわたり設置し、液体窒素を用いた冷却により超電導状態を維持しながら、実際の電力系統に連系して、ケーブルの実系統での運用性や信頼性、安全性を検証しています。
 しかも、長期にわたり無人運転を実施しています。これは画期的で、着実に実用化に近づいています。
 実証試験は250日以上経過しましたが、問題なく連続運転を続けています。
 一方、イットリウム系の高温超電導線材では、住友電気工業(株)、古河電気工業(株)と(株)フジクラがさらに送電ロスを減らせる超電導ケーブルの開発に成功しました。こうした超電導ケーブルが実用化されれば、大きな省エネルギー効果が期待できます。
 特に日本をはじめ先進国はどこでも都市部の再開発と設備の老朽化が問題になっています。再開発や設備更新などで電気の供給量を増やす場合、銅のケーブルを用いる場合は新たなケーブルを敷設するための土木工事が必要になりますが、超電導ケーブルの場合は流せる電力容量が増えるので、増設のための土木工事が不要になるなど、コストメリットが出るケースも具体化してきています。
 超電導は省エネルギー社会に貢献する重要な技術であり、世界的にもニーズが高まっています。日本でいち早く実用化することで、世界市場の確保が期待できます。
 すでに、海外からは実証試験が成功したら、導入を検討したいという話も来ています。
 ただ、超電導技術の開発競争は年々激しくなっており、韓国や欧州が猛烈な勢いで日本を追い上げているのが現状です。NEDOとしても、世界市場の獲得に向けて1日でも早い実用化を目指しています。

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定期広報誌「Focus NEDO」第49号より