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スペシャル対談

LEDは応用範囲が広くまだまだ伸びしろがある

古川天野教授と古川理事長の写真 青色LEDについて、これからの展開を聞かせてください。GaN(窒化ガリウム)に関しては、SiC(炭化ケイ素)に続くパワー半導体という期待感もあると思います。

天野 やりたいことはまだまだ山積しています。まずLEDに関しては、ここまで普及しましたが、伸びしろはたくさんあると思っています。特に効率に関しては60%程度まできましたが、まだ100%ではありません。色に関してもどんな色でも自在に100%の効率で出せるLEDを目指したいという気持ちがあります。
今、取り組んでいるのは、ナノワイヤーの構造をうまく利用した次世代のLEDで、大学で研究を進めています。それからパワーデバイス。潜在能力としては、GaNが高いのですが、残念ながらSiCと比べると基板技術が劣っています。それを解決しないと信頼性を得られません。パワーデバイスというのは命と関わるところに使われますから、使ってもらうにはより高い信頼性、要するにいい結晶をつくる技術が確立できないと、シリコンに置き換わるブレークスルーはできないでしょう。それをぜひ実現したいと思います。もしそれが実現すると、損失としては6分の1程度になりますので、原発の発電量の半分を賄うことができます。私の定年まであと十数年ですが、それまでには道筋を付けたいと思います。

古川天野教授と古川理事長の写真 GaNやLED以外にも取り組んでみたいことはありますか?

天野 LEDと関係するのですが、非常に面白いと思っているのは植物です。砂漠など野菜ができない国に植物工場を輸出するのは、非常に戦略的なシステムだと思います。それからもう一つ面白いと思っているのは、動物の行動制御を分子レベルでコントロールすることです。タンパク質に光感受性を与えると、脳が激しく活性化したり、休ませたりすることが既にマウスではできるようになっています。例えば、人の脳の中にLEDを入れて、活性化したい時にだけスイッチを入れる。眠らせたい時にはオレンジ色の光を入れると、ぱたっと寝てしまうというようなことが、現実にできるようになっているのです。こうした技術は、手足がしびれる病気の方の治療にも役立ちます。医学研究や理学研究の方々と一緒にそうしたことに取り組みたいという夢があります。


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定期広報誌「Focus NEDO」第55号より