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活動報告-3

STEP3 重点的に解決すべき不便さ・不安の検討

調査内容

調査の目的

調査の方法

調査・検討結果

1.第3回検討委員会(2016年7月14日実施)・第4回検討委員会(2016年8月24日実施)の検討結果(概要)

調査結果をもとに「日常生活に不便さを感じる高齢者」の重点的に解決すべき不便さ・不安を2回の委員会で検討

2.重点的に解決すべき不便さ・不安

不便さ・不安 不便さ・不安を解決したいと思う背景(本人のニーズ)
運動機能の問題
①歩行スピード・距離の低下 つまずくことなく、自分自身の足で自由に歩きたい →開発の方向性
②運動継続の難しさ 適度な運動と栄養管理により、健康を維持したい →開発の方向性
③階段の踏み外しの不安 自宅内・屋外を安全に移動し、安心して暮らしたい →開発の方向性
④調理全般の不便さ 調理の際の事故予防・疲労軽減により、手作りの料理を楽しみ続けたい →開発の方向性
コミュニケーションの問題
⑤コミュニケーション不足 会話の機会を増やして、うつや認知症を予防したい →開発の方向性
⑥耳の聴こえづらさ スムーズな会話を実現し、社会や家庭での役割を十分に担い続けたい →開発の方向性
⑦うっかり忘れの不安 約束や服薬を忘れないようにして、幅広い活動を続けたい →開発の方向性
コミュニケーションの問題
⑧軽失禁の不安 軽失禁の不安や不快感を軽減することで、安心して外出したい →開発の方向性

3.開発の方向性

【運動機能の問題】
①歩行スピード・距離の低下
~躓くことなく、自分自身の足で自由に歩きたいニーズ~

これまでと同じように、自分の足で自由に安心して歩くモチベーション

矢印
本当はしたいこと 足腰の弱りにより不便さや不安を感じること
長時間の歩行すること
(ウォーキングイベントや旅行への参加)
・無理をすると数日足腰が痛くなり、歩けなくなってしまう
・その結果、毎日予定を入れられない
孫と出かけること ・1日中歩くことができないので、一緒にでかけられない
行きなれた場所での買物 ・坂道の上である場合、足腰が痛くなる
・帰りに荷物が増えるので自動車で買物にいくが、運転技術が低下しているので事故の不安を感じる
革靴やヒール靴を履く ・足腰の痛みにつながるので履けない。
・無理して履くと、ショッピングカートにもたれ掛かるなど、危険な動作につながる
不便さや不安により歩く量が減ると・・・

・さらに足腰が弱り、歩行スピードが落ち、歩行可能な距離も短くなってしまう
・自宅内のちょっとした段差でもつまずき易くなってしまう

 

②運動継続の難しさ
~適度な運動と食事により、健康を維持したいニーズ~
運動を継続するモチベーション

・親の介護の経験から自由に歩けないことの不便さを痛感して、日々の運動を心がける
・軽失禁対策にプールでのウォーキングがいいなどを聞いて取り組んでみると効果があり、
 それが持続のポイントとなっている
・骨折等の怪我をきっかけに、これ以上悪くならないようにリハビリを続ける
・同年代の家族や友人等に比べて元気でいられることが励みになって続ける
・ハイキング等のイベントの予定があれば、運動を継続する動機となる

実際には、運動を続けることは難しいことも多い

運動を継続することが難しい理由

・若いころと比べて、運動の効果が分かりにくいため、モチベーションの維持が難しい
・歩数計等の計測機器は、計測した結果を比べてコミュニケーションを取る相手がいない場合は、
 一人で続けるのが難しい
・加齢による身体機能の低下を本人が受け入れてしまうと、運動をすることのモチベーション自体が
 なくなってしまう
・食事や水分補給が十分でない場合は、運動をすること自体が難しくなってしまう

 

③階段の踏み外しの不安
~自宅内・屋外を安全に移動し、安心して暮らしたいニーズ~
安心して階段を昇り降りしたいと感じるシーン

・これまでと同じように家事をおこない、家庭内での役割を果たしたい
・夜中にトイレに行く時など、階段を踏み外しを不安に感じる
・公共交通機関のエスカレーターは昇りのみで下りがないことがあり、階段を下りる際に危険を感じる

既存の対策商品のもつ補完機能は限定的

構造物全体の作り方を含めたソリューションが望まれる

 

④調理全般の不便さ
~調理の際の事故予防・疲労軽減により、手作りの料理を楽しみ続けたいニーズ~

④調理全般の不便さ~調理の際の事故予防・疲労軽減により、手作りの料理を楽しみ続けたいニーズ~

 

【コミュニケーションの問題】
⑤コミュニケーション不足
~会話の機会を増やして、うつや認知症を予防したいニーズ~

耳の聴こえづらさ、足腰の悪さ等、加齢による身体能力の低下も背景に

「日常生活に不便さを感じる高齢者」のコミュニケーションに関する問題

・同居家族がいる場合:家族との関係性の問題が主
・同居家族がいない場合:外出する機会の少なさの問題が主

よって、ソリューションは「会話すること」ではない

「日常に不便さを感じる高齢者」がコミュニケーションに求めるもの

・そこに愛情関係があることを感じられるようなもの
・相手の表情や服装などから相手の状況を探り、言葉を選んで関係性を構築できるようなもの
・ロボットのように、何かに人口知能を搭載して「会話する」ものはソリューションになりにくく、
 スマートフォンの活用等も含めて広い視野でソリューションを検討することが望ましい

 

⑥耳の聴こえづらさ
~スムーズな会話を実現し、社会や家庭での役割を十分に担い続けたいニーズ~
聴こえづらいことで不便さを感じるシーン

・特に家庭において、何度も聞き返すと喧嘩の原因になってしまうため、会話が減る
・会議の場で発言が聴こえないので、仕事に支障が出る
・聴こえづらいことから相手に伝わらない、または聴こえづらいことが相手に伝わることをストレスに感じる

既存の補聴器やヒアリングエイド製品以外に、そのものだけで聴こえづらさを解決する製品開発の方向性は見えづらい

既にある商品に聴こえづらさをサポートするような機能を付加

 

⑦うっかり忘れの不安
~約束や服薬を忘れないようにして、幅広い活動を続けたいニーズ~

うっかり忘れの不安~約束や服薬を忘れないようにして、幅広い活動を続けたいニーズ~

スマートフォン等の機器との連携などで、新たなソリューションの可能性も

 

【その他】
⑧軽失禁の不安
~軽失禁の不安や不快感を軽減することで、安心して外出したいニーズ~
軽失禁に関する不安

・40歳を過ぎると尿漏れは多くの人に見られる不安であり、「日常生活に不便さを感じる高齢者」にも
 該当する人が多い
・一方で、失禁対策をしていることを他人に知られたくないという抵抗感は大きく、十分な対策ができて
 いる人の方が少ない

矢印

「日常生活に不便さを感じる高齢者」は、軽失禁の不安はあるものの、対策を取ることへの抵抗感は大きく、そのギャップを埋めるソリューションが求められている
※なお、尿漏れ専用品(使い捨てのパット)市場は中小事業者の参入余地は小さい

 

4.「日常生活に不便さを感じる高齢者」向けの商品開発時のポイント

「日常生活に不便さを感じる高齢者」向けに商品開発をおこなう際は、加齢に伴う心身機能の衰えのみならず、そのライフスタイルや心理状態に着目することが重要である。

「日常生活に不便さを感じる高齢者」向けの商品開発時のポイント(全体像)

「日常生活に不便さを感じる高齢者」向けの商品開発時のポイント(全体像) ①商品コンセプト ②商品設計の着眼点 ③開発段階から出口戦略を見据えたアプローチ

①商品コンセプト
加齢に伴いできにくくなってしまったが「本人が本当はしたいこと」の実現をサポートする
本人と家族の購買動機 単なる不便さの解消ではなく、「本当にしたいこと」に着目
億劫さや不安を感じる要因を取り除くことで外出や運動の機会を増やし、健康維持につなげる
外出をするきっかけ作りになる 商品を使うことで自信を持ち続けられる
②商品設計の着眼点
福祉用具の持つ補完機能と一般商品の持つ便利さの両面からのアプローチ
補完機能の付与 利用者を高齢者に限定しない商品作り 使用した効果の分かりやすさ
生活連続性を維持できる操作性とデザイン性の両立により使用時に充足感を与える
デザイン面の配慮 使い慣れたものを使い続けられるもの 社会や家庭での役割を担い続けることによる充足感
③開発段階から出口戦略を見据えたアプローチ
加齢にともなう機能低下を十分に補完する効果を体験できるような場の創出
利用した時の使い心地を検証しながら開発 利用者の口コミを活用 体験の重要性
子供や孫も便利さを感じることができて本人も納得して購入・使用できる価値と価格
家族や知人の勧めも、購入のきっかけになる 普及しやすいコストの検討
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