NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th8 NEDO 40年史  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の創立40周年にあたり、心からお慶び申し上げます。 菅総理は初めての所信表明演説において、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという極めて高い政策目標を掲げました。しかもこれを単なるエネルギー・環境政策に留めず、技術革新を促し、産業構造や経済社会の変革をもたらすための産業政策としての側面も打ちだしています。今後の我が国の進むべき道を示したともいえましょう。 NEDOは1980年に新エネルギー総合開発機構として石油代替エネルギーの研究開発、技術導入促進を推進する母体として設立されています。まさに先見の明があったのでしょう。40年たって、NEDOの設立目的が、科学技術だけでなく産業政策の中心に据えられたといえるのではないでしょうか。この間、太陽電池を筆頭として様々な革新的なエネルギー技術が開発されてきました。しかし、現在ある技術だけではカーボンニュートラルを達成できません。今まさに既存の技術の組み合わせだけでなく、新たな科学技術を基礎としたイノベーションが求められているのです。 一方で、現在、新型コロナウイルス感染症により世界は混乱の極みに陥れられています。グローバル化した社会において、瞬く間に世界中に拡散する感染症の恐ろしさを私たちは身に染みて感じています。ワクチンや治療薬の開発が待たれるところですが、今回のパンデミックは、それらの医薬品だけでなく、感染症の拡大を防ぐ様々な科学技術、例えば、感染の有無を迅速に判別できる技術、接触感染を防ぐ技術、室内空気を効率的に清浄化する技術、などの重要性を示唆しています。これらにも新たなイノベーションが必要です。 昨年、25年ぶりとなる科学技術基本法の改正が行われ、「科学技術・イノベーション基本法」として、イノベーションの創出が基本法の柱の一つに据えられました。NEDOにおいては、これまで以上に挑戦的な研究開発にも力を入れていると承知しております。産業界の研究開発援助に加え、アカデミアを中心とした基礎基盤的な研究から産業に繋げていく研究開発においてもNEDOの役割は益々大きくなってきていると理解しております。筆者の所属している物質・材料研究機構(NIMS)も物質・材料の研究機関として、NEDOとともに歩み、協力させていただきたいと考えています。 今後のNEDOの益々のご発展を祈念しております。NEDO創立40周年に寄せて国立研究開発法人物質・材料研究機構理事長橋本 和仁 氏2021年3月吉日メッセージ

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