NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  エネルギーシステム分野再生可能エネルギー技術 NEDO 40年史 99きました。NEDOでは、水深50~100mという比較的浅い水深の海域にも適用可能であり、コスト競争力のある浮体式洋上風力発電システムの開発を目的に事業を進めてきました。そのために、バージ型実証機「ひびき」を開発し、2019年5月21日に本格的に運転を開始しました。実証運転中は、妥当性の評価や、効率的な維持管理技術の開発などに取り組み、安全性・信頼性・経済性を明らかにすることで、低コストの浮体式洋上風力発電システム技術の確立を目指します。 加えて、要素技術の開発として、ガイワイヤ支持やタレットを用いた一点係留による浮体・タワー・係留システムの軽量化などについて、実証海域の選定や計画、事業性評価を行うフィジビリティー・スタディー(FS)を実施しました。実現可能性や事業性が認められた場合、実海域で1年間以上の運転を行う実証試験で、性能やコストを検証する予定です。 これらFSの結果を踏まえ、2019年にウェブサイトで浮体式洋上風力発電技術ガイドブックを公開しました。❖ 着床式洋上ウィンドファーム開発支援事業 [ 2013〜2022年度 ] 洋上風力発電の導入を推進していく上で重要なことは、風車の建設だけではなく、事前調査の効率的な実施や得られた情報に基づいた事業性評価です。そこで、洋上風力発電の導入拡大に役立てることを目的として、これまでに港湾区域に設置を予定している複数の海域で、海底地質調査や環境影響評価、基本設計などにかかる費用の一部を支援しました。同事業では、調査結果と事業性の評価に向けた試算などの情報を収集するとともに、ガイドブックなどとして取りまとめ、ウェブサイトで公表してきました。 さらに、港湾区域と比較して大規模な風力発電(ウィンドファーム)の開発が期待される一般海域を対象とした調査を新たに開始し、広大な面積に対する効率的な調査手法を検討する事業を実施しています。加えて、洋上風力発電事業計画の検討において事業性を評価する際に必要不可欠な精度の高い風況データを取得するために、多大なコストを要する洋上観測タワーに代わる観測手法として、ドップラーライダーなどのリモートセンシング技術を活用した日本の海域における洋上風況の合理的な観測手法を確立するための技術開発として、「洋上風況調査手法の確立」に取り組んでいます。図12◉ バージ型浮体式洋上風力発電システム実証機

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