NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th100 NEDO 40年史 ❖ 環境アセスメント調査早期実施実証事業 [ 2013〜2017年度 ] 一定規模以上の風力発電設備を建設・増設する際には、環境アセスメントを実施することが環境影響評価法により定められています。しかし、その手続きには4年程度を要することから、アセスメントの質を落とさずに手続期間を短縮することが求められていました。そこで環境アセスメントに要する手続期間の半減を目指して、2014年度から「環境アセスメント調査早期実証事業」を実施しました。これらの結果を踏まえ、2018年「環境アセスメント迅速化手法のガイド」をウェブサイトで公表しました。現状と課題洋上風力発電の産業競争力の強化へ 洋上風力発電は、2019年4月に「再エネ海域利用法」が施行されたことにより、今後ますますの導入促進が見込まれています。実際に、2019年12月末時点で計画中の洋上風力発電は約14GW(2019年12月末時点、日本風力発電協会「2019年末日本の風力発電の累積導入量速報値」から抜粋)に上っており、2020年度は洋上風力発電の本格導入・拡大のターニングポイントです。この機を逃さず、今までも重要視されてきた国内の産業競争力と技術力をさらに高めることが必要となっています。 洋上風力発電が各地で本格導入され、さらに長期的な導入拡大に向かうためには、着床式と浮体式の両者において「低コスト化」と「日本国内でのサプライチェーンの構築」が重要です。低コスト化においては、基礎構造をはじめ、メンテナンス技術についてもリモートセンシング技術を活用していくことがポイントとなります。また、サプライチェーンについては、国内産業の活性化を含め、部品の高度化や維持管理技術を構築することが必要です。加えて、洋上における設置施工を巡る実践的なロジスティック支援も欠かせません。 一方、洋上風力発電が産業として成り立つためには、事業性や安全性の観点も重要となり、洋上の精緻な風況観測が必要です。風況観測では日本特有の気象海象に鑑み、平均風速のみならず乱流強度の計測も重要となります。とりわけ、陸上からのリモート観測技術の確立に加え、洋上風況観測タワーなどによる、高精度・高信頼性のデータの収集が必要となっています。図13◉ 環境アセスメント手続期間半減行程のイメージ発電事業の検討配慮書手続3カ月方法書手続6カ月配慮書手続3カ月方法書手続5.5カ月環境影響調査(現地調査、予測、評価等)24カ月~30カ月(2営巣期間)前倒環境調査24カ月~30カ月(2営巣期間)準備書手続9カ月評価書手続1カ月準備書手続6.5カ月評価書手続10日建設・着工開始発電開始環境アセスメント従来工程2年以内期間短縮のターゲット8カ月以内半減工程のイメージ3、4年程度

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