NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  エネルギーシステム分野再生可能エネルギー技術 NEDO 40年史 101今後と展望洋上風力発電の本格導入へ向けて 洋上・陸上を含む風力発電市場は世界的に急速な拡大が続いており、2010年には約200GWだった世界の総発電量は、2018年に約600GWにまで達しました。また、洋上風力発電市場に限った場合においても、2010年には約4GWだった世界の総発電量は、2018年に約24GWにまで達しました。 厳しい気象や地理的な要因などから、導入が遅れていたアジア地域においても、洋上風力発電は中国や台湾で導入が進んでいます。2018年の導入量では中国が世界最大となりました。また、法律制限などの制約条件が多い日本においても2019年4月に「再エネ海域利用法」が施行されたことにより、今後ますますの洋上風力発電の導入促進が見込まれています。一方、二酸化炭素(CO2)排出量の削減やエネルギーセキュリティーの向上といった観点でも、ポテンシャルの高い洋上風力発電の普及拡大が一層求められています。 そのためには、技術力を強化し、産業として国内市場の拡大を目指していかなければなりません。日本の特徴である、「世界的にも厳しい気象・地理的条件」を、「厳しい環境にも耐えうる風車=日本の風車は信頼性が高い」という強みに変えていく取り組みが重要です。ここ10年においては、特に洋上風力発電に必要な技術開発に多角的に取り組んできました。その結果、例えば熱帯性低気圧による強風をカバーする「風車クラスT」を日本から国際電気標準会議(IEC)に提案して採用されるなど、国際標準化に結び付いています。 現在、日本では洋上風力発電の実証が複数のサイトで行われ、環境アセスメントに取り組んでいる計画中のプロジェクトが多くあります。まさにこれからの本格導入が予想されると共に、安定性・信頼性が重要視される市場です。 洋上風車は初期投資コストが高いことに加え、故障・事故などが発生した際に多額の費用が発生しますが、これらのコストを削減する研究開発が進んでいます。 NEDOでは今後、本格導入に向け、低コスト化やサプライチェーンの構築といった課題への対策技術の開発を進め、国内の洋上風力発電の本格導入に貢献していきます。図14◉ 世界の風力発電の導入量(CAGR:年平均成長率)出典:GWEC(Global Wind Report 2018)図15◉ 世界の洋上風力発電の導入量CAGR:年平均成長率出典:GWEC(Global Wind Report 2018)0100200300400500600700(GW)200120032005200720092011201320152017(年)CAGR+26%CAGR+17%CAGR+13%TOTAL:591GW51GW増■ 陸上■ 洋上0510152025(GW)2018年洋上風力導入量:23GWCAGR +24%200120032005200720092011201320152017(年)(GW)25201510200120032005200720092011201320152017(年)502018年洋上風力発電導入量:23GWCAGR +24%

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