NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  エネルギーシステム分野再生可能エネルギー技術 NEDO 40年史 105バイオマス歴史と背景利用価値が高いエネルギー源 バイオマスとは、枯渇性の資源ではなく、現生生物を起源とした産業資源のことで、紙、家畜糞尿、食品廃棄物、建設廃材、黒液、下水汚泥、生ごみ、稲わら、麦わら、林地残材、資源作物、飼料作物、でんぷん系作物などを指します。これらを直接燃焼やガス化、液化などを行って得られる電気や熱、ガス、液体燃料などをバイオマスエネルギーと呼んでいます。 1990年代以降、バイオマスはカーボンニュートラルであるという考え方から、地球温暖化対策や循環型社会への取り組みを通じて脚光を浴び、伝統的な薪や炭などの利用から、付加価値の高い液体燃料などへのエネルギー変換・利用へと広がりました。日本でも、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネルギー法)」の改正(2002年1月施行)により、バイオマス発電やバイオマス熱利用、バイオマス燃料製造などが新エネルギーとして明確に位置付けられ、多種多様な技術開発が行われるようになりました。 特に、燃料分野は、再生可能エネルギーの中ではバイオマスだけが直接製造できるエネルギーと言えます。NEDOは2000年代以降、原油価格や食料価格が高騰する状況を踏まえ、食料と競合しないセルロース系エタノールに着目した技術開発を実施しました。2010年代以降は、航空輸送部門における温室効果ガス(GHG)排出量を削減するため、バイオジェット燃料の開発プロジェクトも始まりました。 また、2012年の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)施行後も、健全な事業運営の下で、地域に分散するバイオマスを持続的に利活用できる地産地消型エネルギーのシステム化実証プロジェクトを進めています。図21◉ バイオマスエネルギーに関するNEDOの取り組み

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