NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  エネルギーシステム分野再生可能エネルギー技術 NEDO 40年史 111中で、電源別の特性に応じて、大規模開発により価格競争が可能な電源と、価格競争は困難であるものの地域共生に適した電源に分けた議論が、政府で進められています。一方、日本は地震や火山、台風・豪雨といった自然災害に遭遇する機会が多く、最近では災害対応といったレジリエンスの確保も必要となる中、分散型電源・地産地消電源の重要性も求められる状況になっています。 超臨界地熱資源の開発は、大規模開発の経済的優位性や政府によるイノベーション戦略、そしてNEDO地熱技術戦略にいずれも整合する技術開発であり、期待が大きくなっています。今後、同資源賦存可能性の高い地域での調査井掘削・噴気試験による具体的な資源量評価を実施することが喫緊の課題となります。 地熱という地下に膨大に賦存するエネルギーの利用を地道に進めていくことが日本に適したエネルギー政策の一つであり、次世代以降、末永く利用していく必要があると考えます。図30◉ 超臨界地熱資源システムの概念図再エネ熱利用歴史と背景「再生可能エネルギー熱」の定義と必要性 「再生可能エネルギー熱(再エネ熱)」とは、太陽熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱、海水熱、河川熱、下水熱などの自然由来の熱を指します。その活用を進めることで、省エネルギーや脱炭素化など持続可能なエネルギー社会の実現に貢献する重要な役割を担っています。本来、「熱エネルギー」から熱を直接利用することは極めて効率が良いことから、今後の利用拡大が大いに期待されています。 再エネ熱の有効性が再認識されたのは2014年、「第4次エネルギー基本計画」に具体的に明記されたことにあります。NEDOはこの年から再エネ熱全般に関する初の技術開発プロジェクトを開始しました。 過去には太陽熱の住宅用給湯利用が1980年頃まで増加し、年間最大80万件の導入を記録しました。原油などの価格低下が続いたことで、その導入件数が次第に減少し、近年の太陽熱利用は年間2.5万件程度を維持している状況です。これに対して、地中熱は安定的な熱源として注目され、2000年頃より右肩上がりに増図31◉ 国内における地中熱利用ヒートポンプシステムの導入件数出典:NPO地中熱利用促進協会(2019)平成30年度環境省地中熱利用状況調査業務報告書図32◉ 世界の地中熱利用ヒートポンプエネルギー利用量(1995~2020年)出典:John W. Lund, Aniko N. Toth(2020)Direct Utili za tion of Geothermal Energy 2020 Worldwide Reviewを基に作成(年)5km010km20km15kmバソリス結晶片岩花崗岩質基盤中部地殻深部マグマ溜り約3~5km数km~20km超臨界岩体超臨界岩体花崗岩質基盤岩上面超臨界地熱水賦存領域不透水ゾーン透水ゾーン低透水ゾーン既存浅部地熱系02km4km6km5km010km20km15kmバソリス結晶片岩花崗岩質基盤中部地殻深部マグマ溜り約3~5km数km~20km超臨界岩体超臨界岩体花崗岩質基盤岩上面超臨界地熱水賦存領域不透水ゾーン透水ゾーン低透水ゾーン既存浅部地熱系02km4km6km

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