NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th112 NEDO 40年史 加を続け、2017年度時点では地中熱利用ヒートポンプシステムの導入件数が累計2,662件になっています。 他方、世界の潮流はCO2排出量削減問題を背景に、再エネ熱利用が増加の一途をたどっています。国際エネルギー機関(IEA)の調査報告書によると、2016年に再生可能エネルギーで最も多く利用されているのが風力で、それに太陽熱利用が続いており、2018年までの累計導入量は480GWth(IEA SHC,(2019)Solar Heat Worldwide)にも上ることが報告されています。また、地中熱利用は再生可能エネルギーとしてその有用性が注目され、導入量は2020年時点で年間約60,000TJ(12kWtヒートポンプ換算で646万台)であり、2015年比で約1.9倍と増加し続けています。 最近10年の主なプロジェクト❖ 再生可能エネルギー熱利用技術開発 [ 2014〜2018年度 ] 新しい技術特有の課題であるコスト低減を定量的な目標として位置付け、国内での導入が進む地中熱を中心に、掘削技術や高効率機器をはじめとした要素技術や、それらを組み合わせたトータルシステムの高効率化、さらにはシミュレーションツールやポテンシャル評価技術を開発し、実用化を目指しました。全20テーマのうち、地中熱が15件、太陽熱が2件、温泉熱、雪氷熱、バイオマス熱が各1件と多岐にわたる熱利用技術開発プロジェクトで、目標値の導入コスト・運用コストの20%低減に向けて一定の成果を上げ、実用化の見込みをつけました。❖ 再生可能エネルギー熱利用にかかるコスト低減技術開発 [ 2019〜2023年度 ] 実用化技術の確立や、より一層のコスト低減を図るため自立的な再エネ熱の普及拡大を目的とした技術開発を実施しています。本プロジェクトではシステムの導入に関わる上流から下流までのプレーヤーがコンソーシアムを組み、一体となって技術開発に取り組むもので、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)などへの適用も視野に入れた事業を推進しています。また、システム設計の最適化に必要な設計ツールや、熱物性推定評価技術などの共通基盤技術開発にも取り組んでいます。図33◉ 「再生可能エネルギー熱利用にかかるコスト低減技術開発」の実施体制イメージ

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