NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  エネルギーシステム分野再生可能エネルギー技術 NEDO 40年史 113現状と課題ロードマップ策定とさらなる普及へ 再エネ熱利用の有用性が再確認されているものの、その普及が進まない理由としては、導入コストが高いことや専門人材の不足、認知度不足などがあります。そのため、NEDOプロジェクト「再生可能エネルギー熱利用技術開発」では、コスト低減を目的に数値目標を具体的に設定して技術開発を行い、同事業を通じた人材育成や成果発表などにより認知度の向上にも努めてきました。その成果は地中熱や雪氷熱において徐々にビジネスへとつながっています。 また、進行中のプロジェクト「再生可能エネルギー熱利用にかかるコスト低減技術開発」では、ZEBなどの出口イメージを明確にした技術開発を進めています。これにより、上流から下流までの全関係者はもちろん、自治体をはじめとした需要者などを関与させることによって、普及拡大につなげる狙いがあります。 さらにNEDOは、本分野で政策的な支援を行う関係省庁や自治体、関係団体との連携をこれまで以上に緊密にする考えです。それと共に、世界的潮流である熱利用の普及拡大策や地域振興策への寄与も含め、研究開発課題として具体化していく必要があり、再エネ熱のロードマップ策定に取り組んでいく予定です。今後と展望適用拡大とユーザーニーズのマッチング 「第5次エネルギー基本計画」では、「熱利用を中心とした非電力での用途が過半数を占めており、再エネ熱を効果的に活用していくことがエネルギー需給構造を効率化する上で効果的な取り組みである」としています。また、「長期エネルギー需給見通し」(経済産業省、2015年)では、「再エネ熱を含む熱利用の面的な拡大など地産地消の取組を推進すること」として、2030年度の熱利用の導入見通し目標値(1,341万kL)を掲げています。 これらの政策方針は地球環境問題を解決し、持続可能かつ安定的なエネルギー供給社会を実現していくため、熱利用の普及拡大を促進することを意味しています。そのためには、施策の拡大や関係者の連携はもちろんのこと、具体策を講じていくことが重要です。 研究開発プロジェクトが、再エネ熱の起爆剤となるよう全力で取り組んでいくことがNEDOの役割であると考えています。熱源規模や地理的条件などを踏まえた多熱源での広域利用やネットワーク化のための技術開発、デジタル化社会の中での電力と熱利用の併用などに寄与する研究開発など、地域の特性やニーズを満たした再エネ熱の在り方を探るべき時期に来ていると考えています。図34◉ NEDOプロジェクト終了後2030年までの道のり

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