NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
120/288

40th118 NEDO 40年史 図10◉ 軟包装用水なしオフセット印刷機出典:東レ図11◉ 軟包装用水なしオフセット印刷機で印刷した軟包装印刷物(フィルムロール)出典:東レ図6◉ NanoBridge-FPGA(縦:28mm×横:28mm)出典:日本電気規模を大きくしていますが、微細化するほどトランジスタのリーク(漏れ)電流が増え、それによる消費電力の増加が課題となっていました。 そこで、日本電気株式会社(NEC)は、信号切り替えに独自の金属原子移動型スイッチ「NanoBridge」を用いることで、省電力と小型化を実現した日本独自の動作原理(原子スイッチ)に基づく革新的なFPGA「NanoBridge-FPGA(NB-FPGA)」を開発しました。 開発したFPGAを実装したカメラモジュールは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2019年に革新的衛星技術実証1号機の一部として打ち上げた「小型実証衛星1号機(RAPIS-1)」に搭載されました。これは、「革新的FPGAの耐宇宙環境性能軌道上評価」というテーマで実証されたもので、運用期間中一度もソフトエラーは発生せず、書き換え実験にも成功し、宇宙環境で期待通りの性能を確認しました。[ 成果事例 ④ ] 革新省エネルギー軟包装印刷システムの開発 [ 2016〜2018年度 ] 軟包装材は、フィルムを使った包装材で、食品やシャンプー・洗剤の詰め替え品用など、生活に身近な幅広い商品の包装に使われています。この軟包装に関する印刷市場は、世界的な人口増加に伴い、今後も年率5~7%の拡大が予測されています。一方で、軟包装用印刷には、現行印刷方式では有機溶剤を含むインキを大量に使うため、環境汚染の原因となる揮発性有機化合物(VOC)を多く排出することに加え、溶剤の加熱乾燥や排気燃焼処理に膨大な電力を使うことが問題となっています。 このような背景の下、東レ株式会社は、VOCフリー化や省電力化を実現できる環境性能の高い軟包装用水なしオフセット印刷システムの開発を進めました。印図8◉ 小型実証衛星1号機(RAPIS-1)図9◉ 革新的衛星技術実証1号機への搭載イメージ図7◉ 「NanoBridge-FPGA」を実装したカメラモジュール。JAXAが開発出典:JAXA出典:JAXA出典:JAXA

元のページ  ../index.html#120

このブックを見る