NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  省エネルギー・環境分野省エネルギー技術 NEDO 40年史 119刷機メーカーの株式会社ミヤコシ、印刷用インキメーカーの株式会社T&K TOKA、印刷システムのユーザーである光村印刷株式会社と共同で、システムの中核となる世界初の軟包装用水なしオフセット印刷機と、フィルムへの印刷に適した専用の水溶性インキおよび水なし平版を開発し、本システムによる印刷実証を行いました。現状と課題原油換算1,000万kLの削減目標を達成へ 戦略的省エネルギー技術革新事業において、2030年時点のエネルギー消費量の削減に向け、2012年度から継続して各技術開発テーマを支援するとともに、事業終了後の実用化の状況や省エネルギー効果の見込みについて追跡調査を実施しています。2019年度までの調査において、事業終了後の実用化率は47%となっており、省エネルギー効果の見込み量は、原油換算で353万kL/年となっています。 しかし、事業終了後に技術が実用化され、実際に製品やシステムとして社会に普及しなければ、省エネルギー効果は生まれません。そのため、今後は、技術開発終了後の社会実装を積極的に推進し、実用化率を高めることで省エネルギーを着実に推進していく必要があります。 また、2030年を節目として技術開発を支援してきましたが、その節目が近付いてきたことから、さらにその先の将来に向けた技術開発も必要になってきています。今後と展望2050年に向けた社会実装の推進へ 2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」や2019年6月に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」においては、2050年までに温室効果ガスの排出を80%削減することを目指して、エネルギー転換・脱炭素化への挑戦を進めていきます。そのために、脱炭素化エネルギーシステムに関するあらゆる選択肢について技術を強化する必要があります。また、2020年1月に決定された「革新的環境イノベーション戦略」では、世界のカーボンニュートラルを可能とする革新的技術の確立に向け、それに貢献する技術開発テーマの一つとして、「分野間の連携による横断的省エネ技術の開発・利用拡大」が示されています。 日本の温室効果ガス排出量の約9割を占めるエネルギー部門における対応は、年々重要性を増しています。そうした状況下で、前述のように、継続した革新的な省エネルギー技術を開発支援するためのシーズの発掘や、開発成果の社会実装をこれまで以上に積極的に推進することが求められています。それによって、エネルギー消費量の削減だけでなく、温室効果ガスの削減にも貢献し、経済成長と両立する持続可能な省エネルギー社会を実現することがNEDOの責務です。

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