NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th120 NEDO 40年史 高温超電導歴史と背景画期的な省エネルギーの実現に向けて 超電導とは非常に低い温度で電気抵抗がゼロとなる現象です。極低温(-269℃/液体ヘリウムで冷却)付近で超電導状態となるものを低温超電導、液体ヘリウム温度より高温で超電導状態となるものを高温超電導と定義しています。超電導状態になると、低い電圧でも大容量の電気が流せ、大きな磁場を発生させることなどができます。 「エネルギー・環境イノベーション戦略(NESTI 2050)」(2016年4月19日総合科学技術・イノベーション会議決定)では、2050年の低炭素化を見据え、超電導技術の有用性や技術開発を加速することの必要性などが記載されています。 最近10年の主なプロジェクト❖ イットリウム系超電導電力機器技術開発 [ 2008〜2013年度 ] 「超電導応用基盤技術研究開発(第Ⅱ期)」と「超電導電力ネットワーク制御技術開発」によって得られた開発成果を踏まえて、実用レベルに達したコンパクトで大容量の電力供給が期待できるイットリウムに代表されるレアアース系酸化物高温超電導線材を活用する研究開発を実施しました。用途としては、次世代電力機器として「第3期科学技術基本計画」のエネルギー分野の重点科学技術である「送電技術」 「電力系統制御技術」 「電力貯蔵技術」に位置付けられている、①超電導電力ケーブル、②超電導変圧器、③超電導電力貯蔵システム(SMES)の実用化にめどを付けることを目的としました。さらに、それら超電導電力機器に最も適応した、④超電導電力機器用線材の研究開発、⑤超電導電力機器の適用技術標準化に向けた取り組みも併せて行いました。❖ 高温超電導ケーブル実証プロジェクト [ 2007〜2013年度 ] 東京電力株式会社(現・東京電力ホールディングス株式会社)、住友電気工業株式会社、株式会社前川製作所により、高温超電導ケーブルを社会の重要なインフラである電力供給システムに適用するために、高温超電導ケーブルや冷却技術などを図13◉ 超電導変圧器システム図14◉ 超電導電力貯蔵システム(SMES)図12◉ 開発項目と担当事業者(株)三菱総合研究所

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