NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th122 NEDO 40年史 未利用熱エネルギー歴史と背景古くて新しい未利用熱エネルギー 日本では、石油、石炭、天然ガスといった化石燃料を中心とする一次エネルギーから電力・燃料などに変換・輸送・貯蔵する段階で、その3~4割が有効利用できずにエネルギー・ロス(熱)としてとして失われています。さらに、消費者が最終的に活用する、真に必要なエネルギーに再変換する段階においてもエネルギー・ロスが発生するため、一次エネルギーの6~7割が熱として失われています。一次エネルギーの9割を輸入に頼り、その金額が16兆円(2019年度)にも上る日本にとって、これはとても大きな損失です。 また、化石燃料は、燃焼して必要なエネルギーに変換するまでに二酸化炭素(CO2)を排出するため、いかにエネルギー・ロスを大幅に減らすかが、日本が2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指す上でも重要な課題になります。NEDOは、このような利用されずに捨てられる熱、一般には排熱や廃熱と呼ばれるものを「未利用熱エネルギー」(未利用熱)注1)と呼び、着目してきました。 「未利用熱エネルギー」あるいは「未利用熱」という言葉自体は、1973年の第1次オイルショックをうけて社会的にも省エネルギーの必要性が認識された時期に使われ始めたもので、まずは、製鉄所などで高温・大量に存在するものの利用されていない熱を「未利用熱」と呼び、その活用を検討してきました。 NEDOが進める未利用熱の活用に関する研究開発は、80年代にムーンライト計画の一環として実施された「スーパーヒートポンプ・エネルギー集積システムの研究開発」から始まりました。1990年代に入ってからは、「ニューサンシャイン計画」の下で規模を拡大し、石油代替と省エネルギー化という命題の下で「未利用エネルギー高度活用負荷平準化冷暖房技術開発」 「広域エネルギー利用ネットワ図20◉ 日本における一次エネルギー供給から最終活用に至るエネルギーフロー注1)一次エネルギーの中で再生可能エネルギーにあたる地中熱や河川熱なども未利用熱と呼ばれることがある。本書では、エネルギー変換や再変換に伴って発生するものを未利用熱の対象とする

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