NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  省エネルギー・環境分野環境・省資源技術 NEDO 40年史 127ー基本計画」(2018年7月閣議決定)では、石炭やLNGの高効率火力発電実現のための技術開発を促進するとともに、二酸化炭素(CO2)排出量削減のためにCO2分離・回収、貯留技術の実用化を目指した研究開発を行うとしています。 また、「次世代火力発電に係る技術ロードマップ(2016年6月)」では、石炭とLNG火力発電の高効率化やCO2分離・回収技術の見通しが示され、エネルギーミックス実現とCO2排出量削減の目標達成に向け、これらの技術開発を連携して進めていくことの重要性について強調されています。 最近10年の主なプロジェクト >> 火力発電の高効率化❖ 多目的石炭ガス化製造技術開発 [ 1998〜2009年度 ] NEDOは、電源開発株式会社と共同で、石炭ガス化複合発電(IGCC:Inte grat ed Coal Gasication Combined Cycle)技術について、石炭処理量150t/日のEAGLE(Coal Energy Application for Gas, Liquid and Electricity)パイロット試験設備の設計、建設を行い、2002~2006年度まで運転研究を実施し、1,000時間以上の連続運転に成功するとともに、高効率なガス化性能やガス精製性能の確認などの成果を得ました。❖ 石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業 [ 2016年度~ ] EAGLEの成果を基に、石炭火力発電から排出されるCO2を大幅に削減させるべく、究極の高効率石炭火力発電技術である石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC:Integrated Coal Gasication Fuel Cell Combined Cycle)とCO2分離・回収を組み合わせた実証試験(石炭処理量1,180t/日)を大崎クールジェン株式会社と実施し、革新的低炭素石炭火力発電の実現に取り組んでいます。 第1段階の酸素吹IGCC実証は、2016~2018年度にかけて実証試験を実施し、目標を達成しました。第2段階のCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証では、2019年12月から実証試験を実施しています。第3段階のCO2分離・回収型IGFC実証は2019年3月から事業を開始し、2021年度末からの実証試験に向けて準備を行っています。 石炭火力を取り巻く状況が年々厳しくなる中、高効率発電技術とCO2分離・回収技術の組み合わせにより、石炭火力からのCO2排出量をゼロに近づけることのできる本事業の重要性は高まっています。図2◉ EAGLEパイロット試験設備、電源開発(北九州市)石炭処理量150t/日出典:電源開発図3◉ 大崎クールジェンデモンストレーションプラント、大崎クールジェン(広島県大崎上島町)石炭処理量1,180t/日出典:大崎クールジェン

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