NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  省エネルギー・環境分野環境・省資源技術 NEDO 40年史 131❖ カーボンリサイクル・先進的な火力発電技術等に係る導入促進事業 [ 2017〜2021年度 ] 「第5次エネルギー基本計画」(2018年7月閣議決定)では、石炭火力の重要なベースロード電源としての位置付けや再生可能エネルギーの導入拡大に伴う適切な出力調整の必要性の高まりについて言及されています。また、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(2019年6月閣議決定)においては、脱炭素社会の構築に向けた二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)/カーボンリサイクルなどのイノベーションの実現が不可欠であること、そのための技術の普及、知見の共有などを行っていくことが明記されています。 こうした背景から、NEDOは2017年度以降、有識者やステークホルダーの招聘・派遣、オペレーション&メンテナンスの技術移転、情報収集・発信などを行い、ユーザー国に対して、包括的に技術の環境優位性などについての理解促進を図っています。また、2019年度からは、脱炭素化技術の導入促進のため、カーボンリサイクル技術について、相手国政府関係者の招聘や日本の専門家の派遣、国際会議の開催といった活動などを通じて当該技術の理解促進を図り、海外への普及・展開を行っています。現状と課題ゼロエミッションへ向けた取り組み 火力発電は再生可能エネルギー導入拡大に伴い、負荷変動対応電力としての役割が求められており、エネルギーミックスを実現する上で重要な電源と言えます。一方で、化石燃料の燃焼に伴いCO2が生成することから、脱炭素社会の実現のためにはその排出量の削減に向けた取り組みが必要です。火力発電の高効率化により大幅なCO2排出量の低減が見込まれますが、ゼロエミッションに向けたさらなるCO2削減には、火力発電所からCO2を分離・回収する技術、資源として有効利用する技術、地中に貯留する技術であるCCUSとの組み合わせが期待されます。今後と展望非連続なイノベーションを創出する革新技術の開発 日本のエネルギー政策の基本的視点として、安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性(Eco nomic Eciency)の向上による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、環境への適合(Environment)を図るための最大限の取り組みを行う3E+Sが掲げられています。この3E+Sの原則の下で、NEDOは、非連続なイノベーションを創出する革新技術の開発を着実に実施します。図13◉ 第1回カーボンリサイクル産学官国際会議

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