NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  省エネルギー・環境分野環境・省資源技術 NEDO 40年史 135の技術や近く実用化が見込める技術を一元的に研究・開発する環境を整えることで、カーボンリサイクル技術の確立を通じたCO2削減に貢献します。現状と課題CCUS技術をCO2削減のコアに 世界では大規模なCCSの事業化が進められており、CCUについても、欧米を中心にメタネーションやメタノール生産などの実証・商業プラントが稼働し始めています。日本でもエネルギー基本計画やカーボンリサイクル技術ロードマップに沿ったCCUS技術の実用化に向けた取り組みが進められています。 CCSの実用化には、CO2分離・回収のさらなるコスト低減のほか、十分なポテンシャルを有する貯留適地や輸送手段の確保、安全・安心の確保や情報提供などを通じたCCSに対する社会的受容性の醸成といった課題があります。また、カーボンリサイクルにおいては、化学的に安定でエネルギーレベルの低い物質であるCO2から化学品や燃料を合成するためには、水素が必要となることに留意が必要です。 他方、カーボンリサイクルの過程で水素を伴わない鉱物・炭酸塩の利用技術の開発を進めるほか、様々なCCUの選択肢を実証していくことが重要です。これらについて、個々の化学反応に伴う熱のバランスを考慮したプロセス改善や分離技術のレベルアップなどを通じ、必要な投入エネルギーを大幅に削減し、ライフサイクル全体でのCO2排出削減を図っていくことが重要と言えます。今後と展望世界全体のCO2の排出削減に貢献 国の長期戦略やロードマップに沿ったNEDOのCCUSの技術開発事業の成果として、CO2分離・回収コストのさらなる低減を実現する技術やCO2を安全に安心して貯留する技術、さらにCO2を素材や燃料へ有効利用する技術の実用化が期待できます。NEDOは優れたCCUSの先進技術を確立し、その実用化した技術を国内外に展開することで、世界全体のCO2の排出削減に貢献します。図20◉ カーボンリサイクル実証研究拠点予定地(広島県大崎上島町)出典:「革新的環境イノベーション戦略」(2020年1月に統合イノベーション戦略推進会議決定)を基にNEDOが作成図21◉ カーボンリサイクル実証研究拠点のイメージ

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