NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th138 NEDO 40年史 現状と課題さらなるCO2削減と環境調和型プロセスの実用化へ COURSE50では、すでに製鉄所からのCO2排出量約30%削減の技術的な見通しは得られているものの、実用化に向けては、実高炉へのスケールアップ、CO2排出削減効果を最大にする実高炉の操業条件の確立などの課題があります。2050年の普及へ向けて、COURSE50プロセスの実現可能性を高めるための課題を克服し、最終的には、従来の高炉法より30%のCO2排出量を削減する技術を、2030年度までに実用化し、2050年までに日本の全高炉へ普及することを目指しています。 フェロコークス技術については、すでに実機の1/5規模の実証設備が設置されており、フェロコークスの製造と高炉への連続装入試験を実施する段階です。操業試験を通して、高炉での還元材比の削減効果、通気性の変化の見積もりや物質・エネルギー収支など高炉への影響評価を行い、操業にかかるコストの評価を進めます。その上で、2030年頃までに実機最大5基を導入することを目指しています。今後と展望環境調和型プロセスによる地球温暖化防止への貢献 日本の鉄鋼業は、省エネルギー努力により世界最高水準のエネルギー効率を達成し、地球温暖化対策としてのCO2削減に貢献してきました。国内の全高炉へのCOURSE50の技術適用が実現すれば、日本のCO2排出量を約4%削減可能であり、大きなCO2削減効果が得られます。これは、日本にとって大きな利益となります。 鉄鋼業からのさらなるCO2削減を推進するため、2100年の鉄鋼プロセスの脱炭素化達成を目指した取り組みも開始したところです。環境調和型プロセス技術の開発では、現行の高炉法による低炭素化について取り組んでいますが、環境調和型プロセス技術の開発で得られる知見を足掛かりとして、高炉を用いない水素還元といった超革新技術の2050年以降の早期実用化を目指しています。フェロコークスは一般炭や低品位鉄鉱石を活用することから、投入する炭材削減効果とともに原料炭と鉄鉱石の調達リスクの低減が期待されます。フェロコークス技術は2023年以降、国内高炉への展開を図るとともに、省エネルギー、CO2削減技術として海外展開も期待される技術です。 NEDOは、環境調和型プロセスの実用化と普及に取り組むことにより地球温暖化防止に寄与すべく、挑戦していきます。図27◉ フェロコークス外観出典:JFEスチール図28◉ フェロコークス300t/d実証設備出典:JFEスチール図29◉ フェロコークス製造プロセス図出典:JFEスチール

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