NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th140 NEDO 40年史 化を図る循環経済社会の実現が重要となってきています。 NEDOは、2010年頃から都市鉱山を活用したレアメタルなどの有用金属のリサイクルシステムの構築、廃プラスチックに関するリサイクル技術の開発、さらに、開発した技術などの海外展開促進を目指してきました。 最近10年の主なプロジェクト❖ 省資源型・環境調和型資源循環プロジェクト [ 2010〜2011年度 ] 近年、先進国・新興国による資源争奪戦が激化しており、多くの資源を輸入している日本にとって、資源節約に向けた「省資源」対策の推進は最重要課題の一つです。 本プロジェクトは、廃プラスチック、レアメタル、食品残渣、使用済み繊維など、枯渇性資源のリサイクルを通じて資源制約を克服するとともに、新規資源の投入抑制や廃棄物の減量によって、焼却などに伴い発生する大量のCO2の排出抑制を進めることで、環境制約の克服を目指しました。 また、アジアでは、各国の経済発展や国際的資源循環の活性化などに伴い、技術・制度が未成熟な地域において廃棄物の発生による環境負荷が増大しており、公害問題や廃棄物などの地域の環境問題が顕在化しています。こうした問題は、アジア諸国の持続的経済発展、アジアにおける資源循環システム構築の阻害要因となります。そのため、日本企業が有する高い技術・システムをアジア諸国に移転していくことを通じて、新たな外需拡大を目指していくことが必要です。 このような背景の下、10件の地域と業界が一体となった体制の国内事業と1件の海外実証を推進しました。❖ 環境・医療分野の国際研究開発・実証プロジェクト/ アジアにおける先進的資源循環システム国際研究開発及び実証 [ 2011〜2016年度 ] 本実証プロジェクトの中で、NEDOと中国国家発展改革委員会との連携により、豊田通商株式会社に委託して「先進的自動車リサイクルシステム」を実施しました。北京市内で、前処理からフロン破壊などの有害物処理、車体細断や廃タイヤの破砕までトータルで解体とリサイクルを行う大規模集約型のリサイクルシステムの実証プロジェクトを実施しました。これは、工場単独の自動車解体としては日中両国で前例のない事例です。解体に伴う環境負荷を低減し、約90%という日本国内以上のリサイクル率を維持しつつ、年間1万台以上の使用済み自動車の処理が可能となりました。 この処理能力は、北京市内で解体・リサイクル処理されている使用済み自動車の約13%に相当します。今回のプロジェクト成果を基に、豊田通商は日本企業として初めて中国国内で自動車解体リサイクル事業に参入しており、日本発の自動車リサイクル技術の普及につながることが期待されます。図31◉ プロジェクトで構築された中国の自動車リサイクル工場の様子上は廃液の回収工程、中央は切断機による車体の解体工程、下は廃タイヤの破砕工程

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