NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  省エネルギー・環境分野環境・省資源技術 NEDO 40年史 141❖ 高効率な資源循環システムを構築するためのリサイクル技術の研究開発事業 [ 2017〜2022年度 ] 本プロジェクトは日本の都市鉱山を有効活用することを目的に、産業技術総合研究所(産総研)が、廃製品に含まれる金属資源の自動選別システムの試験装置群を導入した集中研究施設「CEDEST」を産総研つくばセンター内に開設しました。産総研を中心とする企業・大学・研究機関と共に、小型家電などの廃製品に含まれるレアメタルなどの金属資源の有効活用に向けて、低コストで高効率なリサイクルを可能にする革新的な基盤技術の開発を推進しています。このCEDESTの開設により、金属リサイクルの高度化と省人化を両立する世界初の自動・自律型のリサイクルプラントの開発・構築に向けた本格的な装置開発に着手します。 今後、従来の手作業による廃製品の解体・選別プロセスの10倍以上の処理速度と、廃部品を分離効率80%以上で選別する性能を実現し、さらにこれらを無人で一貫制御する選別システムを確立することで、都市鉱山の有効活用を目指します。現状と課題資源循環型システムの拡充 レアメタルや有用金属などのように資源価値の高価なものはリサイクルすることで、経済的な観点でもメリットがあるため、比較的リサイクル技術開発が進んできました。しかし、プラスチックなどのように安価な材料の場合、分別、回収、リサイクルする際のコストが見合わないものは、その大部分がこれまで単純焼却や埋め立て、アジア諸国へ輸出されていました。 先進諸国のプラスチックごみを受け入れてきたアジア諸国では近年、廃プラスチックが適切に処理できないとして輸入規制が強化されました。また、陸域から流出した廃プラスチックが、海洋プラスチックごみ問題として世界的な課題となっています。こうした中、日本では「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」(2019年5月31日策定)や「プラスチック資源循環戦略」(2019年5月31日策定)が策定され、2035年までにリユース・リサイクルなどにより、すべての使用済みプラスチックを有効利用することなどのマイルストーンが提示され、対応を進めています。その中でも「革新的リサイクル技術の開発」が重点戦略の一つとして掲げ図32◉ 集中研究施設「CEDEST」の外観と同施設で開発する技術

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