NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th144 NEDO 40年史 最近10年の主なプロジェクト❖ 高効率ノンフロン型空調機器技術の開発 [ 2011〜2015年度 ] 温室効果ガスの削減ポテンシャルの大きい業務用空調機器分野について、低温室効果ガスを用いて高効率化を実現するために、新冷媒開発、圧縮機・熱交換器などの要素機器開発により、低温室効果冷媒を用いつつ現状市販フロン品と同等以上の性能を実現する基盤技術の開発を行いました。この結果、要素機器開発において、従来のフロン冷媒使用時と同等レベルの性能を達成できる見込みが確認されたほか、従来冷媒と同等の冷媒性能を維持し、温室効果を大幅に低減できる冷媒の開発に成功しました。さらに、冷媒は低温室効果のトレードオフとしてかすかな燃焼性(微燃性)が生じることから、産学官連携の「微燃性冷媒リスク評価研究会」を立ち上げ、各種微燃性冷媒に対する安全性・リスク評価を行い、使用条件などに応じた安全性やリスクに関する規格策定などにつなげる取り組みを実施しました。この研究会のレポートが高圧ガス保安法の改正(2016年11月)に寄与し、低温室効果の微燃性冷媒の使用が新たに規定されました。これにより、低温室効果冷媒を使用した大容量ターボ冷凍機の製品化が実現しました。現状と課題HFC排出量削減に向けた次世代冷媒適用技術の推進 日本における2018年度の温室効果ガス総排出量は12億4,000万tであり、温室効果ガス総排出量は2013年度(14億1,000万t)をピークに減少傾向にあります。この中で、代替フロン等4ガス注1)の排出量は、2004年度までに大きく減少しましたが、その後は増加傾向にあります。さらに、代替フロン等4ガスの排出量内訳としてはHFCが最も大きく、全体の約90%を占めることが分かっています。これは、冷凍空調分野における特定フロンからHFCへの冷媒転換が進んだことに起因します。従って、冷凍空調機器に使用される冷媒をより温室効果が低い冷媒(次世代冷媒)へ転換することが、フロン類に関する地球温暖化防止対策として極めて重要になります。 このような背景の中、現在の次世代冷媒の候補はいずれも従来のHFC冷媒適用機器以上の効率性(省エネルギー性)を維持するための技術的ハードルが高く、さらに安全性においても課題があることから、世界的に十分な普及に至っていません。NEDOは「省エネ化・低温室効果を達成できる次世代冷媒・冷凍空調技術及び図35◉ 微燃性冷媒の安全性・リスク評価の成果微燃性冷媒の安全性・リスク評価低温室効果冷媒適用機器の製品化高圧ガス保安法の改正指定された微燃性冷媒について、不燃性冷媒と同様の取扱いが可能に。低温室効果の微燃性冷媒の安全な使用を規定。IEC 60335-2-40改訂提案IECの改訂低温室効果冷媒(HFO-1234ze(E))を使用した大容量ターボ冷凍機を製品化【改訂のポイント】● リレー等において微燃性冷媒の火炎伝播を防止する開口部の最大サイズを規定。● 消炎直径を決定するために必要となる燃焼速度について、湿度の影響を考慮する。● 燃焼速度に応じて、一定容量以下のリレーなどの電気接点は着火源とならない。IEC 60335-2-40における電磁開閉器(リレー)の安全要求等について微燃性冷媒に係る改訂提案。実機の構造室外機電磁開閉器圧縮機注1)オゾン層破壊効果を有する物質である特定フロンを代替する4種のガス。ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)を指す出典:2018年度(平成30年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について(環境省)よりNEDO作成図36◉ 日本のHFC排出量の推移各温室効果ガスの排出量の推移(年度)代替フロン等4ガスのガス別排出量の推移(年度)HFCの排出量は増加傾向NF3SF6PFCsHFCsPFCsSF6NF3HFCsN2OCH4CO2140060502010201020112011201220122013201320142014201520152016201620172017201820181300401200301100201000各温室効果ガスの排出量(単位百万t-CO2換算)代替フロン等4ガスのガス別排出量(単位百万t-CO2換算)HFCの排出量が9割を占める

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