NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th146 NEDO 40年史 てインフラ分野の海外展開を後押ししている中、日本企業がいかに世界の水ビジネスに参入していくかが重要な課題となっています。 伝統的な上下水道事業は「ボリュームゾーン」と位置付けられ、市場の年平均成長率は2013~2020年にかけて3.6%にとどまっています。一方、近年、再生利用や海水淡水化など市場化されてきた分野は「成長ゾーン」と呼ばれ、同期間で12.2%と高い市場の年平均成長率が見込まれています。このため、NEDOはこの成長ゾーンの分野をプロジェクトのターゲットとしています。世界市場への展開を行うために、日本独自の高度な水処理技術を開発し、大幅な省エネルギー効果やコストダウンを実現させ、さらには環境負荷へも配慮することで、国際競争力を持ったビジネス展開を目指しています。 最近10年の主なプロジェクト❖ Mega-ton Water System(メガトンウォーターシステム) [ 2009〜2013年度 ] 近年、人口の増加や経済成長、異常気象などによって、地球規模で水環境の破壊が進み、水不足はますます深刻化しています。そうした状況の中、生活を支えるのに十分な水量と水質を確保できる新たな水処理技術が求められています。 その要求に応えるべく、海水淡水化処理において、高効率大型分離膜(省エネルギー)、無薬注海水淡水化システム(低環境負荷)といった要素技術、さらには100万m3/日規模の大型プラント構成を最適化したシステム技術を開発し、設備コスト・造水コストを半減するとともに、消費エネルギーの20%削減を達成しました。また、海水淡水化施設から排出される濃縮海水と下水処理排水を活用し、両者の濃度差エネルギー回収の基本技術も確立しました。図39◉ 「メガトンウォーターシステム」フローの概要出典:「最先端研究開発支援プログラム(FIRST)追跡評価報告書 概要」から引用

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