NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  産業技術分野ロボット・AI技術 NEDO 40年史 151て東京ビッグサイトで「WRS2018」が実施され、7万6,000人以上の来場者を迎えました。本イベントは「WRS2020」として2020年8月に福島県で、10月に愛知県で開催される予定でしたが、2020年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大の影響により延期となっています。 また、「ロボット新戦略」では実証実験フィールドの整備が施策の1つとして示され、福島県では「福島イノベーション・コースト構想」の下に、実際の使用環境を再現して行うフィールドロボットの研究開発、性能評価などが可能な福島ロボットテストフィールド(RTF)の整備が進められました。この取り組みにNEDOは積極的に協力して、2017年11月に福島県と福島RTFを活用した実証に関する協力協定を締結し、さらに2019年4月には南相馬市とロボット関連人材育成等に関する協力協定を締結しました。これに基づき、ロボットの性能評価についての特別講座を南相馬市で実施しています。 最近10年の主なプロジェクト❖ 次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト [ 2008〜2011年度 ] ロボットの基盤的要素技術やシステム開発力をさらに強化することにより、ロボットの適応分野を拡大し、ロボット産業を日本における基幹産業の1つに成長させることが必要とされていました。こうした目的に向けて、ロボットのソフトウエアを機能ごとに分割し共通部品化したモジュール型知能化技術の開発、それらの知能モジュールを統合し事前の動作シミュレートなどを可能とするロボット知能ソフトウエアプラットフォームの開発を行いました。また、開発したモジュールの再利用を促進するために「RTC再利用技術研究センター」を開設して、モジュールの検査・接続検証を行い、当初計画の340を上回る362のモジュールを開発するという成果を上げています。❖ 生活支援ロボット実用化プロジェクト [ 2009〜2013年度 ] 日本では福祉・介護といった生活支援分野でも労働力不足に対応するためにロボットの活用が期待されていました。こうした分野でロボットを活用する際に課題となる対人安全技術の確立に取り組みました。検証試験を通じたロボットの安全技術の確立、安全性を検証するための試験・評価方法や手順の策定を行い、検証・試験の拠点として「生活支援ロボット安全検証センター」を茨城県つくば市に開設しました。このプロジェクトの成果が基になり、パーソナルケアロボットの国際安全規格が「ISO 13482」として2014年2月に発行されました。プロジェクトに参画したロボット3機種注3)がこの規格の認証を受けています。❖ 災害対応無人化システム研究開発プロジェクト [ 2011〜2012年度 ] 東日本大震災により、災害対応無人化システムについては、汎用性、機動性、耐久性などの様々な課題があることが明白となりました。こうした課題に対応するために、重大な災害・事故において家屋・施設が被災し、作業員の立ち入りが困難となった状況でも、速やかに状況把握、輸送・捜索、復旧活動などを行うための災害対応無人化システムの研究開発を行いました。2013年2月に、開発した9分野のロボ図3◉ World Robot Summit 2018 の様子注3)パナソニック株式会社のフルリクライニング車いす付きベッド「リショーネ」、株式会社ダイフクの配送センター内高速ビークルのエリア管理システム、CYBERDYNE株式会社の装着型サイボーグ「HAL」の3機種図4◉災害対応支援ロボット

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