NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
156/288

40th154 NEDO 40年史 今後と展望市場の拡大と知能化の進展 2018年にNEDO技術戦略研究センターは、ロボット全体の世界市場は2035年に約28兆円に迫る規模に達する、という予測を公表しています注6)。その背景には、ロボットの社会実装が進み、未活用領域にも普及していくという見通しがあります。現在、金額ベースで産業用ロボットがほとんどですが、今後、生活支援や医療・介護、警備、飲食などの分野に向けたサービスロボット、そして建設やインフラ維持管理などの分野に向けたフィールドロボットという新しい市場が急速に拡大し、2035年にはサービスロボットの市場が産業用ロボットの2倍近くにまで拡大すると見込んでいます。 NEDOは、このような分野に早くから取り組み、2014年7月には、これら新しいロボット分野の技術開発指針と活用例などをまとめた『NEDOロボット白書2014』を公開しています。 さらに、2020年に発生した新型コロナウイルスの全世界的な感染拡大は、サービスロボットの普及をさらに加速するものと考えられます。このコロナ禍に対して、NEDOは2020年度に「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」を開始しています。 新しい市場への拡大を支えるのは、ロボットの知能化です。急速に進化するAIの技術がロボットと融合し、従来は提供できなかったような自律的な行動をロボットが執るようになると考えられます。2016年の世界ロボット市場は約2.6兆円で、そのうちAI×ロボット市場は16%と推定されますが、2035年には、世界市場の51%にまで拡大する見込みです注7)。 NEDOは、2011年7月に日本初のロボット用知能ソフトウエアモジュールを公開するなど、早くからロボットの知能化、そしてAIとの融合に取り組んできました。今後も、ロボットの知能化をさらに進めて、ロボットの社会実装にチャレンジしていきます。図9◉ ロボット分野別の世界市場予測出典:NEDO「TSC Foresight」Vol.29 (2018年)、International Federation of Robotics 「World Robot ics 2016」を基にNEDO技術戦略研究センター作成302520151050■ サービスロボット売上高(出荷額)■ フィールドロボット売上高(出荷額)■ 産業用ロボット売上高(出荷額)(兆円)(年)2020202520302035図10◉ 「NEDOロボット白書2014」(2014年7月17日発行)注7)出典:NEDO「TSC Fore­sight」Vol.29、https://www.nedo.go.jp/content/100884651.pdf注6)出典:NEDO「TSC Fore­sight」 Vol.29、https://www.nedo.go.jp/content/100884651.pdf

元のページ  ../index.html#156

このブックを見る