NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  産業技術分野ロボット・AI技術 NEDO 40年史 161航空機歴史と背景環境規制と電動化に向け技術開発進む 航空機産業は、最先端の技術が適用される典型的な研究開発集約型の産業、かつ極めて広い裾野を有する総合産業です。また、高い安全性・信頼性が求められ、厳しい品質管理が要求されています。環境面に関しては、国際民間航空機関(ICAO)において、2050年までにCO2排出量を50%削減(2005年比)することを目標に掲げています。これまで以上にCO2排出量の削減が求められている中、航空機の電動化技術が注目されています。2018年7月には国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となり、産学官が連携する枠組みとして、「航空機電動化コンソーシアム(ECLAIR)」が設立されています。 また、次世代航空機はさらなる安全性・環境適合性・経済性が求められています。そこでこうしたニーズに対応した技術開発を行い、日本の技術が次世代航空機に早期に導入可能な体制を構築することが必要とされています。特に期待を集めているのが、「装備品」と呼ばれる航空機の胴体や翼などの機体構造、エンジン本体を除いた大小のシステムや機器類です。これらは電気系統や油圧系統、燃料系統、空調系統、操縦系統など多岐にわたり、航空機の価値構成の40%を占める重要な分野となっています。 最近10年の主なプロジェクト❖ 航空機用先進システム実用化プロジェクト [ 2015〜2023年度 ] 本事業は航空機の安全性、環境適合性、経済性といった社会のニーズに対応し、高安全性、軽量、低コストを実現する先進システムを開発し、次世代航空機として提案可能なレベルにまで成熟させることを目的としています。図17◉ 装備品の価値構成その他 3%機体エンジンエンジンエンジン24%翼 15%胴体 19%降着装備 4%飛行制御 4%内装品 5%航法12%電気系 14%装備品約40%装備品約40%出典:Frost & Sullivan「Global Com­mercial Aviation Electrical Power Systems and Infrastructure Market Assessment」(2008年)図18◉ 航空機先進システム実用化プロジェクト概要図ターボファンエンジン発電機推進用分散ファンモーター蓄電池電力パワエレ⑧次世代電動推進システム⑦次世代エンジン電動化システム①次世代エンジン熱制御システム③次世代コックピットディスプレイ⑥次世代自動走行システム②次世代降着システム④次世代空調システム光ファイバービトー管配管EOAD C/AC Cモーターコントローラー⑤次世代飛行制御操縦システム

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