NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th162 NEDO 40年史  さらに電動航空機の実現に向け、超電導技術を適用した推進システムや軽量蓄電池などの要素技術の研究開発に取り組んでいます。現状と課題実用化の取り組みと新技術への対応 装備品には安全性を証明する認証制度があり、該当する認証(基準適合証明)を取らなければ航空機に搭載できません。安全性の証明は、具体的な方法や数値基準が定められているケースが少なく、多くの場合は製造事業者が証明方法を考える必要があります。満足している数字自体が安全面に照らして十分であることを、製造事業者自らが運航実績や試験データを示して証明することが必要とされており、試験設備あるいは実機による各種試験、認証のクリアが不可欠です。蓄積した認証ノウハウや認証取得のスピード性が開発競争や市場への支配力を左右するため、監督官庁や業界団体と連携して取り組むことが重要です。今後と展望新型コロナウイルスによる環境変化と技術革新 世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、航空機需要はこれまでに経験したことがないほど大きく落ち込み、回復には数年を要すると予測されています。これにより、航空機産業も製造機数や人員の削減が進み、関連するサプライチェーンに大きな影響が及んでいます。ただし、ITの発達によりリモートでのコミュニケーション手段も浸透してきていますが、人の移動は人類の文化的、社会的、経済的、政治的活動に欠かせぬ要素であることは変わりありません。その意味で航空に関わる人材、産業、システムをサステイナブルにする必要があります。 航空機需要の回復後は、機体メーカーの製品戦略で双通路機から単通路機へ主力機種の見直しがなされたり、価格競争力から安定供給力へサプライチェーンの再編が行われたりする可能性が高いとみられます。そのため、これまで以上に環境への影響の低減、安全性と経済性の向上が重要となり、各国での技術獲得競争が加速すると予測されます。NEDOはこうした環境対応やコスト改善などに寄与する、軽量化、電動化、製造自動化技術などに関する研究開発について積極的に取り組み、航空機産業の発展に貢献していきます。

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