NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th168 NEDO 40年史 パワー半導体❖ 低炭素社会を実現する次世代パワーエレクトロニクスプロジェクト [ 2009〜2019年度 ] パワーエレクトロニクス(パワエレ)技術は、家電、自動車、鉄道、産業機器から電力ネットワークまで様々な用途で幅広く使用され、それらの機器の性能向上や省エネルギーの鍵となるコア技術です。 本プロジェクトでは、パワエレ技術の国際的な産業競争力強化を目指し、次世代シリコンデバイス開発や、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった新材料パワーデバイスに必須な材料技術、設計技術、実装技術に注力して取り組みました。その結果、世界初の成果として、3,300V級と高耐圧のシリコンIGBT(Si-IGBT)(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)のスイッチング制御をわずか5Vのゲート駆動電圧で実証すること、単結晶ダイヤモンド基板を用いたマルチセル構造のGaN-高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)を開発することに成功しています。また、本プロジェクトから生み出されたSiCモジュール技術は、産業用インバーターや鉄道車両にも広く活用され始めています。今後は、再生可能エネルギーの安定供給など、さらなる低炭素化社会の実現に寄与していくことが期待されています。図14◉ 新世代Si-IGBTとデジタルドライブICを用いた産業用実用化クラスのインバーター(10kW)試作機で大幅な低損失化を実現図15◉ 単結晶ダイヤモンド基板を用いたマルチセル構造のGaN-HEMT断面構造図13◉ 次世代パワエレプロジェクトの取り組み範囲機器回路モジュールデバイスウエハ材料SiSiCGaN・新世代 Si-IGBT・ドライブ 回路技術 新世代Si-IGBTと応用基本技術 ・サーバー用 高速駆動回路・太陽光発電用PCS・Full-SiCインバーター (高効率化)・高温動作素子 1.6kVグリーンITプロジェクト ・発電電動機一体 ターボチャージャ・超高効率 車載電動システム・高耐圧(6.5kV) パワーモジュール・次世代パワーモジュール次世代パワエレSiC応用システム ・新規用途開拓次世代GaNデバイス・高品質大口径ウエハ次世代GaNウエハ・3.3kVパワーモジュール・3.3kV級MOS-FET・昇華法6インチウエハ・高耐熱部材(キャパシター、インダクター、接着剤)新材料パワー半導体プロジェクト 高耐圧(3kV)デバイスをわずか5Vで駆動するSi-IGBT(世界初)制御【従来】Turn-on of IGBTnPMOSn0=0IOVERSHOOTILICICVCEn∞=63n1n2n3n4ttゲート駆動IC制御基板三相インバーターSi-IGBT【デジタル制御】IOVERSHOOTILVCEtナノ表面改質層ソース電極GaN-HEMT層(~1μm)ダイヤモンド基盤(~300μm)発熱ゲート電極ドレイン電極

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