NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th170 NEDO 40年史 どに伴い、世界シェアが落ち込むといった苦戦を強いられてきました。 日本のIoT・電子・情報産業の競争力強化のためには、データを介して機械、技術、人などがつながるConnected Industriesの考え方の下、強みである要素技術を生かしつつ、ハードウエアのみならず、ミドルウエア、ソフトウエア、セキュリティー、そしてデータ、アーキテクチャも考慮した一体的な技術開発を進めることが勝負の鍵になると思われます。今後と展望IoT社会の実現に向けて 2010年代を振り返ると、情報産業界にはスマートフォンの普及をはじめとするとてつもなく大きな動きがあった10年間であったと言えます。情報通信技術や情報処理技術の高度化から、これまでは一般的でなかった関連機器の小型化、AIによる情報処理の普及が一気に進みました。いかに効率的に情報を収集し、蓄積し、活用するかという視点が産業の中で重要となり、様々な関連技術やビジネスが生まれていきました。同時に、既存技術による情報処理の限界が見えるようになったのもこの時期です。IT革命以降、年々世界中で扱う情報量が増え、情報爆発ともいわれる時代にあって、サーバーによる消費電力の増大にどう対応していくのかが大きな課題となりました。また、既存のハードウエア技術の高度化の指標となっていた「ムーアの法則」の限界、つまり半導体の微細化の限界が徐々に明らかになってきました。 IoT・電子・情報分野では、これらの限界を克服しSociety 5.0が目的とする「IoTですべての人とモノがつながり、新たな価値が生まれる社会」の実現を目指して、その基盤となる技術開発を実施し、要素技術・基盤技術となる成果を創出してきました。今後も、多様な社会課題の解決に向けて、いかに実用的かつ効率的なコンピューティング技術を早期に実現するか、将来を見据えて開発を進めていく必要があります。 NEDOは、今後ともIoTを活用する事業者、研究機関、企業・大学などと連携し、個別の技術開発のみならず、既存のビジネスにとらわれない新しい事業や社会課題解決につながるサービスを生み出し、今後もIoTの社会実装に貢献していきます。 また、2020年度から「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」を開始しました。現在、第4世代移動通信システム(4G)と比べてより高度な第5世代移動通信システム(5G)は、各国で商用サービスが始まりつつありますが、本プロジェクトでは、高速・大容量に加えて、超低遅延や多数同時接続といった機能が強化されたポスト5Gに対応した情報通信システムの中核となる技術を開発し、日本のポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化を目指します。これらの技術は工場や自動車といった多様な産業用途への活用が見込まれており、今後の日本の産業競争力の核となり得る技術と期待されています。

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