NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  産業技術分野ものづくり技術 NEDO 40年史 171 天然資源の乏しい日本にとって、ものづくり産業は生命線です。将来的に人口減少が進むと予想される中、社会構造の変革に対応した技術革新を戦略的に取り入れた新産業革命を推進していくことが重要です。「もの」のインターネット(IoT:Internet of Things)に代表されるように、身の回りのあらゆる「もの」がネットワークでつながり、最適化により生産の効率化が進むと、これまでのものづくりの概念が一変します。 将来のものづくりの現場では、デジタル制御と親和性が高いレーザー加工の重要性が一層増すと同時に、ものづくり機器のクラウド連携や知能化が進むと考えられ、これらを融合したレーザー加工システムは日本のものづくりにおける最重要ツールの1つとして期待されています。 また、ものづくりの付加価値を高めていくためには、多品種少量生産、複雑形状、高機能化などを実現できる積層造形技術を、積極的に活用することが有効です。世界市場が積層造形技術を活用した付加価値生産の流れに向かう中、積層造形技術による製造プロセスを前提とする機能性部品が一般化すると、従来の鋳造や鍛造といった工法では対応できなくなってしまいます。そのため、日本のものづくり企業にとって、積層造形技術を活用した金属部品などの開発を早期に促進する必然性が高まっています。図1◉ ナショナルプロジェクトの変遷レーザー関係1980年超高性能レーザー応用複合生産システムの研究開発(1977~1984)137億円CO2レーザー、固体レーザーなど1990年超先端加工システムの研究開発(1986~1994)161億円エキシマレーザー、イオンビーム加工技術など(2016)4億円装置開発、実用化実証、粉末製造技術2000年フォトン計測・加工技術の研究開発(1997~2001)72億円固体レーザーフォトン応用加工フォトン応用計測2010年次世代素材等レーザー加工技術開発(2010~2014)47億円パルスファイバーレーザーCFRPなど次世代加工技術2020年高輝度・高効率次世代レーザー技術開発(2016~2020)短波長短パルスレーザー半導体レーザー光源加工プラットフォーム積層造形関係2015年2020年(2017~2018)21億円基盤研究、要素技術開発装置開発、実用化実証、粉末製造技術三次元造形技術を核としたものづくり革命プログラム次世代型産業用3Dプリンタの造形技術開発・実用化事業省エネルギー型製造プロセスの実現に向けた3Dプリンタの造形技術開発・実用化事業(2013~2016)64億円基盤研究、要素技術開発積層造形部品開発の効率化のための基盤技術開発事業(2019~2023)欠陥予測技術の開発、高度モニタリング・フィードバック制御機能の開発、開発・評価手法の開発2-3-3. ものづくり技術歴史と背景日本の強みを生かしたものづくり産業

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