NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th174 NEDO 40年史  NEDOは、1988年から電気を通すガラスやプラスチックである「導電性高分子材料」、組成を制御して新しい合金を作る「高機能結晶制御合金」、光エネルギーを利用した「光反応材料」などの研究開発プロジェクトを実施し、材料分野における研究開発プロジェクトの先駆けとなりました。1992年度には「原子・分子極限操作技術」の開発を始め、原子や分子を操作することで、新しい物質や素子を創る基礎技術・概念の確立を目指しました。2001年度からは、繊維、セラミックス、金属製品などの材料関連産業を中心に、研究開発プロジェクトを継続し、軽量・高強度材料や新機能ガラス、ナノファイバーなど、産業を支える目覚ましい成果を上げました。 2014年度からは、航空機や自動車の軽量化・燃費改善に向けた、鋼板やアルミニウム材、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などによる構造材や複合材料の創製・成形技術の研究開発のほか、太陽光を利用して製造した水素と二酸化炭素(CO2)を組み合わせてプラスチック原料を製造する技術の研究開発、データベースや人工知能(AI)などを活用して効率的に新材料などを探索する技術の基盤開発を実施しています。 材料・ナノテクノロジーの重要性については政府計画や戦略にも反映されており、「第5期科学技術基本計画」で提唱されている「Society 5.0」の実現にはデジタルイノベーションを支えるマテリアルイノベーションが不可欠だとされています。また「統合イノベーション戦略2020」では、マテリアル革新力の強化が柱の1つに盛り込まれており、日本の産業技術力強化の観点から材料・ナノテクノロジー分野の重要性が再認識されています。NEDOはこれらの政府計画や戦略にのっとり、未来の社会に必要とされる革新的な材料を開発するプロジェクトを推進していきます。 最近10年の主なプロジェクト構造材料❖ 革新的新構造材料等研究開発 [ 2014〜2022年度 ] 国内の年間CO2排出総量において、運輸部門は約18.5%(約2億1,000万t)を排出しています。このうち自動車は運輸部門の86%を占め、自動車の燃費改善技術は非常に社会的影響が大きいことがわかります。そこで、本プロジェクトではエネルギー使用量とCO2排出量の削減を図るため、その効果が大きい自動車や鉄道車両といった輸送機器の抜本的な軽量化につながる技術開発などを行いました。2-3-4. 材料・ナノテクノロジー図1◉ 製作に成功したオール熱可塑性CFRPシャシー提供:新構造材料技術研究組合(ISMA)歴史と背景産業を支える様々な材料を開発

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