NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th176 NEDO 40年史 機能性材料❖ 低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト [ 2010〜2016年度 ] カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンといったナノ炭素材料は、軽量で電気や熱の伝導が良いなどの特長を有し、省エネルギー家電や輸送機器など多くの分野での実用化が期待されています。このプロジェクトでは高品質・高純度な単層CNTの量産技術の確立や、ナノ炭素材料応用製品としての実用化技術の開発、安全性評価に向けた計測技術などの基盤技術開発を行いました。 その結果、2015年に高品質・高純度な単層CNTの革新的合成法として「スーパーグロース法」を採用する量産工場が完成し、同合成法による単層CNTの生産を開始しました。2016年には、半導体の放熱シートなどに向けて同合成法による単層CNTとゴムを複合したシート系熱界面材料を開発しました。2018年には、エンジンや掘削装置のOリングなどに向けて、単層CNTとゴムを複合した長寿命・高耐熱・高耐圧シール材の量産を開始しました。 また、2017年にグラフェンをはじめとする二次元材料の製造や用途開発のため、産総研技術移転ベンチャーとして株式会社エアメンブレンが設立されました。半導体や電化製品に利用可能なグラフェン透明導電性シートを製品化しています。❖ 次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発 [ 2014〜2021年度 ]❖ 部素材の代替・使用量削減に資する技術開発・実証事業 [ 2020〜2021年度 ] 国内総電力消費量の半分以上を占めるのはモーターであり、その高効率化は省エネルギーやCO2削減にとって極めて有用です。一方で、高効率モーター用磁石には貴重な資源である希土類が使われています。特に稼働時の耐熱性向上に必要な重希土類は、資源量が僅少で偏在する、いわば調達リスクの高い資源です。自動車の電動化に伴うモーター需要の拡大が見込まれ、資源リスクを削減しつつモーターの高性能化を進める必要があります。 前者プロジェクトの第1期では、重希土類フリーの高性能磁石と軟磁性材料を用いた鉄心、これらを用いた高効率モーターの研究開発を進めました。2017年度提供:産業技術総合研究所図7◉ A4サイズの単層CNT/炭素繊維/ゴム複合材料提供:産業技術総合研究所図8◉ 耐熱Oリング「SGOINT」の外観提供:エアメンブレン図9◉ フレキシブル・透明デバイスのイメージ図

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