NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th186 NEDO 40年史 の研究にならず手戻りの少ないプロジェクト運営を図っています。プロジェクト4年目にあたる2019年度には、企業が実際に基盤技術を活用して実用化を目指すことをテーマとする助成事業を立ち上げ、開発技術の社会実装を推進しています。現状と課題CNFの実用化や用途拡大、利用増加を加速 バイオマス分野において、木材などの天然資源から得られるCNFの製造法などでは日本が世界をリードしています。今後は現在の競争優位性を保ちながら、製造コスト低減などにより、CNFの実用化や用途拡大、利用増加をさらに加速していくことが求められています。またスマートセル分野においては、スマートセルを構築するための基盤技術の開発を進め成果を上げてきた一方で、膨大な生物情報の活用競争が始まっている世界のバイオ産業における日本の存在感の低下が危惧されています。バイオとデジタルの融合を担える研究人材の確保に努め、日本の強みである生物育種や発酵技術などを生かしながら、生産プロセスを高度化した次世代生産技術開発により社会実装を着実に進めていく必要があります。また、海外アカデミアがゲノム編集の基本特許を次々と取得する中で、日本においてもゲノム編集技術を利用した産業の発展を実現するためには、国産のゲノム編集技術開発を戦略的に展開しなければなりません。 米国のバイオ産業の市場規模は約38兆円超で、そのうち工業分野の割合が32%に達しているのに対し、日本は2015年時点で市場規模が約3兆円、工業分野の割合は11%ほどと後れを取っている現状があります。欧米や中国などの主要国はバイオエコノミーの拡大による新たな市場形成を国家戦略に位置付けており、農業、工業、健康・医療などのあらゆる分野で投資・産業化、人材育成といった様々な施策が進められています。このような世界の潮流も踏まえ、これまでのようなシーズ発想の思考でバイオテクノロジーを活用するという戦略から、持続可能な新たな社会経済システムの要素として欠かすことができないバイオエコノミーを開発した情報解析技術とデータ/知識ベースを融合したスマートセル候補の設計Design・代謝経路設計技術・酵素改変設計技術・導入遺伝子配列設計技術・発現制御ネットワーク構築技術長鎖DNAを用いたハイスループット微生物合成Build・有用DNA因子の抽出技術・シャーシ株構築技術・ハイスループット微生物構築・評価技術・長鎖DNA合成技術・マルチターゲットゲノム編集技術・目的遺伝子クローン単利技術・輸送体探索技術物質生産向上に資する配列・遺伝子・酵素タンパク質の特徴量抽出Learn・文献等からの知識抽出・学習技術・データベース構築技術高精度オミクスを活用したハイスループット微生物評価高精度オミクスを活用したハイスループット微生物評価Test・メタボライトセンサ構築技術・ハイスループットトランスクリプトーム解析技術・高精度メタボローム解析技術・定量ターゲットプロテオーム解析技術・サンプル非破壊型細胞評価技術図10◉「DBTLサイクル」によるスマートセル創出基盤技術

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