NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th190 NEDO 40年史 ❖ 次世代機能代替技術の研究開発 [ 2010〜2014年度 ] 本事業では先天的あるいは後天的に失われたヒトの組織・器官・機能などを補助・代替し、機能が低下した臓器・器官の回復を実現するための再生医療技術や医療機器の実用化を目指し、生体内で自己組織の再生を促すセルフリー型再生デバイスの開発、少量の細胞により生体内で自律的に成熟する自律成熟型再生デバイスの開発、長期在宅使用が可能な植込み型小児用補助人工心臓の開発を実施しました。 本事業の主な成果として、あらゆる組織に分化することが可能な多能性幹細胞の1つであるMuse細胞注2)とその分離法に関する特許の取得、さらにはMuse細胞を用いたヒトの三次元培養皮膚の実用化を達成しました。❖ 環境・医療分野の国際研究開発・実証プロジェクト/先進的医療機器システムの国際研究開発及び実証 [ 2011〜2017年度 ] 海外各国における現地特有の医療課題に対して、日本の企業や機関が現地国研究機関と協力し、現地医療ニーズに即した医療機器インフラ・システムを開発・実証するプロジェクトを実施し、現地医療水準の向上とともに、日本の医療機器産業の海外展開を図りました。 主な成果として、中国江蘇省にある南京医科大学第二附属医院に、セントラル方式人工透析システムを導入しました。現地の水環境と医療環境に適合した高品位なシステムが安定して稼働することを確認、さらに透析洗浄化について透析水や透析液中の化学汚染物質などで国際基準を満たすなど、中国医療環境における本システムの有効性を実証しました。❖ 体液中マイクロRNA測定技術基盤開発 [ 2014年度 ] 先制医療・個別化医療の実現には、低侵襲で高感度なマルチマーカーによる診断システム技術が不可欠です。 本事業では、蓄積された膨大な臨床情報とバイオバンクの検体を活用して、血液中マイクロRNA発現データベースを構築し、網羅的に解析しました。これにより、乳がんや大腸がんなど13種類のがんや認知症の早期発見マーカーを見いだし、低侵襲で高感度なマルチマーカーによる診断システム技術として世界に先駆け実用化することを目指しました。 本事業を含む医療分野の研究開発事業は、2015年度にNEDOからAMEDへと移管されました。注2)Multi-lineage dierentiating stress enduring細胞の略。生体の、特に間葉系組織に存在する多能性幹細胞として見いだされた

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