NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
196/288

40th194 NEDO 40年史 国際実証事業歴史と背景国・地域のニーズを踏まえた技術開発 世界のエネルギー消費量は増加の一途をたどり、海外エネルギー市場は拡大を続けています。その一方で、再生可能エネルギーのコスト低下や同設備容量が石炭火力を上回るなど、各国の低炭素化・脱炭素化に向けたエネルギー転換なども加速しています。 NEDOは設立以来、日本のエネルギー関連産業の国内外への展開と、エネルギー転換・低炭素化・脱炭素化を支援する国際事業を実施しています。これによって国内だけでなく海外においても、エネルギー消費の拡大抑制や温室効果ガスの排出抑制により地球温暖化問題の解決に貢献してきました。 1990年代初頭から実施してきた国際事業においては、事業の実施サイトがある国の政府とNEDOが合意文書を締結した上で実施してきました。この枠組みの下で、両国政府機関・企業が協力して事業を推進し、その成果に基づいて導入・普及を図るまでの活動を支援しています。 これまでの国際事業はアジアにおける産業用省エネルギー事業などが中心となり、その成果の普及を目指してきました。直近10年では、アジアの省エネルギー分野にとどまらず、中東、アフリカ、ロシアなどの環境・インフラ分野や、欧米、アジア諸国でのスマートコミュニティ実現に向けた技術の確立に取り組むなど、活動の場を広げています。特に、スマートシティの実現においては、各国・地域のニーズや実情を踏まえた新たな展開が求められています。そこで電気にとどまらず、図1◉ 中国広東省における電力需給調整マネジメントシステム実証の事業例2.技術開発・実証2-4. 国際関連事業1990年代【背景】中国の生産能力増強による著しいエネルギー消費拡大が予想され、日本のエネルギー需給安定化への影響を懸念。⇒エネルギー多消費産業であり、投資回収効果の高い鉄鋼・セメントなどにおける省エネルギー技術を、主に中国で推進。例:中国セメント工場における排熱発電実証2000年代【背景】新興国の経済成長が進展。⇒社会・生活側面も含め、さらなるエネルギー利用の最適化を図る省エネルギー技術を中心に、成長著しいASEAN、インド、中東などに拡大。例:タイ・民生用水和物スラリー蓄熱空調システムモデル事業2010年代【背景】欧米を中心に再生可能エネルギー導入が進み、エネルギー供給サイドと需要サイドが双方向で情報を共有するスマートコミュニティの概念が発展。⇒省エネルギー、再生可能エネルギー、エネルギー管理システムなどの複数の技術を組み合わせたシステム・統合的な展開。例:米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証2013年〜【背景】 コスト低下に伴う再生可能エネルギー導入深化と系統不安定化対応やエネルギー市場の自由化・アンバンドリング⇒エネルギー需給の予測管理、エネルギー貯蔵・変換技術、分散型エネルギー資源の統合制御、マイクログリッド技術など例:独国ニーダーザクセン州大規模ハイブリッド蓄電池システム実証事業表1◉ 国際エネルギー実証の変遷

元のページ  ../index.html#196

このブックを見る