NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  国際関連事業 NEDO 40年史 195上下水道設備や交通システムに至るまで、様々な個別技術を組み合わせた最適なシステムを提案しています。地域の課題解決に貢献するとともに、温室効果ガスの排出削減を通じ地球温暖化問題の解決に寄与することを目指しています。 最近10年の主なプロジェクト❖ フランス・リヨン再開発地域におけるスマートコミュニティ実証事業 [ 2011〜2017年度 ] 欧州では、「20-20-20」政策注1)により、再生可能エネルギーの導入促進とエネルギー効率の向上、二酸化炭素(CO2)排出量の削減が義務付けられています。フランス・リヨン市では、この高い環境目標に適合する未来型都市モデルの構築を計画していました。NEDOはグランドリヨン共同体と合意書を締結し、日本の先進的な技術を活用して、建築家・隈研吾氏設計の「HIKARIビル」の「ポジティブ・エナジー・ビルディング」注2)化や、電気自動車(EV)充電管理システムと太陽光発電を組み合わせた交通システムのゼロエミッション化、情報通信技術を活用した住宅・ビルの省エネルギー化に取り組みました。また、都市のエネルギー利用情報をリアルタイムで管理して効果的・効率的な都市計画の推進を支援するシステムを構築し、併せて実証を行いました。本実証は、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で立ち上げられたクリーンエネルギー分野の研究開発における官民投資拡大を促す国際イニシアチブ「ミッションイノベーション」において、2019年に「クリーンエネルギーの普及に貢献する優れた取り組み100件」に選ばれるなど、国際的に高い評価を受けました。❖ 省エネルギー型海水淡水化システムの実規模での性能実証事業(サウジアラビア) [ 2018〜2022年度 ] 2009~2013年度の間、NEDOは内閣府・最先端研究開発支援プログラム(FIRST)の課題の1つである「Mega-ton Water System」の研究支援を担当し、世界最大の処理能力を有する省エネルギー海水淡水化水処理システム・下水処理システムを確立しました。その成果を実証すべく、NEDOとサウジアラビア海水淡水化公社(SWCC)は2017年12月に基本協定書(MOU)を締結し、続いて2018年3月にNEDOの委託先とSWCC図2◉ ポジティブ・エナジー・ビルディング「HIKARIビル」注1)EU各国は2020年までに、1990年比で再生可能エネルギー比率20%向上、エネルギー効率20%向上、CO2排出量20%削減することを定めている注2)新築ビルに太陽光発電や蓄電池、蓄熱材などを導入し、エネルギーマネジメントシステムにより管理することで、ビル内の消費量を上回るエネルギーを生み出すことのできる建築物

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